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Sohatsu Eyes

温暖化対策をビジネスチャンスに

2008年01月22日 井上真壮



いよいよ京都議定書の約束期間に入りました。年末年始のTVでも温暖化問題の特集がたくさん組まれ、関心の高さがうかがえます。温暖化問題の影響は世界規模であり、人類の生存を脅かす恐れのあるものです。経済成長と環境影響抑制の両立というのは決して新しいテーマではありませんが、CO2排出量に上限を決められたことでCO2が価値を持つことになったのは大きな変革と言えると思います。企業活動において実業と温暖化対策を切り離して考えることはもうできません。

この10年、環境ビジネスに取り組んできましたが、その概念は徐々に変わってきていると感じます。メーカーは製造段階での温室効果ガスを削減しなくてはならないだけでなく、提供する商品の省エネ性も問われることになります。企業活動自体が環境を第一に考えることにより、全てのビジネスが環境ビジネス化していきます。これは多くの企業にとってチャンスでもあるのです。かつて90年代後半に大量生産・大量消費が問題となり、リサイクルが推進されました。当時、環境に積極的に取り組んでいる企業とはリサイクルを推進し、循環型の仕組みを作った企業でした。リサイクルの推進は負担になりますが、決してマイナス要素だけではありませんでした。企業イメージを大幅にアップさせた企業もありますし、実業面の好影響も少なくありません。例えば、部品点数を減らしたことが生産性の向上につながったり、回収品を再生利用することで逆に原材料費を削減した企業も多いのです。

世界的にみて日本企業は省エネルギーに積極的に取り組んできたと言われます。これ以上の削減余地は少ないとも言われています。確かにそのとおりです。ただし、これまでの省エネは、あくまでも製造業を中心に経済合理性の範囲で行われたものだと思います。その結果が、日本の製造業の競争力の高さに通じています。今後は世界的にCO2排出抑制に対する圧力は更に高まるのは間違いありません。CO2排出量自体がさまざまな形で価格化されつつもあります。かつてのリサイクルのように、日本企業にはこうした機会をチャンスとして更なる成長を遂げてもらいたいと思います。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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