クローズアップテーマ
4-3.米国における疾病予防:運動管理支援編
2007年08月30日 山田敦弘
■医療費の高負担が健康の自己管理への関心を高める米国
米国における疾病予防の主目的は医療費削減である。国民1人当たりの医療費が日本では25万円程度であるのに対して、米国では6600ドル(約73万円)程度に上り、日本以上に深刻な状況にあることが背景にある。米国の疾病予防管理ではディジーズマネジメント事例が紹介されることが多いが、今回は最近発売された運動支援ツールをいくつか紹介する。
■センサーを使って運動量や身体の状態を把握するツール
2007年5月に発表されたこのシステムは、運動中の脈拍、体温、姿勢などを胸部に装着したベルト型センサーを使って、無線で情報を飛ばし、パソコンにリアルタイムで収集分析する仕組みである。これにより運動量の把握に加え、運動の限界点も知ることができる。
このシステムは、携帯音楽プレイヤーとセンサー(高精度加速度計)を靴底に埋め込んだ運動靴と通信させて、運動データを収集する仕組みである。収集した情報は自分で記録分析するだけではなく、専用サイトにアップすることで、全米でこのシステムを使った運動状況と合わせて、自分の状況を把握することができる。また、これにより利用者の間の共感が生まれたり、逆に他の利用者と競争をすることがで、運動継続へのプロモーションを高めることができる。
■運動を中心に総合的に管理を行うツール
このシステムは、すでにフィットネス等で日常的な運動ができている人に、総合的な視点からアドバイスをするソフトウェアである。運動の種類・量や体重などの身体情報に加え、摂食、サプリメントの服用情報を入力することで、何が必要なのかを、何をするべきかをアドバイスが示される。また、ネットやメール等のインターネット通信を使って、他の利用者の運動方法を参照することができ、自分に適合する運動方法を見つけ出すこともできる。