クローズアップテーマ 446社が国内排出量取引の試行実施に参加 2008年12月16日 三木優 先日、実施が発表された、国内排出量取引の試行実施は、10月21日から12月12日までの集中募集期間を設けて、参加企業を募ってきた。12月15日にその募集結果が公表され、総計446社が自主的に目標を設定して、試行実施に参加する見通しとなった。 公表された資料によると参加業種および企業数は以下の通りである。○エネルギー転換部門・電気事業:9社・石油精製業:8社・都市ガス業:4社○産業部門・鉄鋼業:74社・化学工業:41社・製紙産業:12社・セメント産業:11社・電機電子産業:16社・自動車製造業:58社・ゴム工業:21社・その他:43社・ビール等製造業:1社・医薬品製造業:1社・産業廃棄物処理業:1社○業務部門・コンビニエンスストア業:3社・商社:10社・その他:7社・銀行業:3社・損害保険業:1社・生協業:1社・学校:1社○運輸部門・航空運送事業:2社・貨物運送事業:3社・その他:10社○自主参加型国内排出量取引制度:120社 参加業種の自主行動計画達成状況を見てみると、電力・鉄鋼のように排出超過について、排出権を購入して対処することを表明している業種以外では、概ね目標達成に目処を付けている業種が中心となっている。 個社別では自主行動計画目標の達成が難しい企業が参加していることも想定されるが、試行実施における目標水準がどのようなものかは、個社別には公表されていないため、試行実施において大幅にCO2の排出削減をしなければならない企業がどの程度あるのかは第三者からは検証できない状態である。 2008年度の参加企業は、制度が確定しない段階で参加表明をしなければならず、手探りの状態で参加を検討しなければならなかったことをふまえると、現状で排出量が大幅に超過しており、その対処方針が決まっていない企業の参加は難しかったと考えられる。今後、制度の検討が進み、全体像が明らかになってきた段階で、2008年度の参加を見送った企業において、参加すべきか否かの検討が進むと思われる。 今後は、自主行動計画の目標達成が難しい企業を含む、幅広い企業の参加を目指すのであれば、制度自体の詳細化・明確化を進めるとともに、目標達成の手段として、排出枠が使用できる環境(流通の円滑化・取引実績や価格情報の提供)を整えていくことが必要である。