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環境省より国内排出権取引制度の試案が示されました

2008年05月19日 三木優


 5/15に環境省が開催する国内排出量取引制度検討会(第6回)にて、国内排出権取引制度の試案が示された。試案では以下の4種類のオプションが提案され、それぞれ誰を対象にどの程度の範囲をカバーし、どのようにして排出枠を割り当てていくのかが示された。

1.川上割当
・対象:化石燃料の生産・輸入・販売業者
・範囲:化石燃料=エネルギー起源CO2(ほぼ10割)
・割当:全量有償割当(オークション)。オークション収益の相当部分は割当対象者に還元。

2.川下割当
・対象:産業・業務部門の大口排出者(化石燃料・電力の最終需要家)
・範囲:算定・報告・公表制度対象者(約6割)
・割当:全量無償割当。徐々に有償割当(オークション)を導入し、その比率を高める。

3.川下割当+電力直接排出
・対象:電力・産業・業務の大口直接排出者(化石燃料の最終需要家)
・範囲:算定・報告・公表制度対象者+全部門の電力起源CO2(約7割+α)
・割当:電力会社:全量有償割当(オークション)。価格転嫁の仕組みを併せて整備。

4.川下割当(原単位・活動量責任分担型)
・対象:産業・業務部門の大口排出者(化石燃料・電力の最終需要家)及び電力会社(排出原単位目標を設定)。排出枠の内訳である「原単位目標×活動見込量」に関し、それぞれの達成責任を分割する。
・範囲:算定・報告・公表制度対象者(約6割)(全部門の電力起源CO2の原単位)
・割当:電力会社:目標との差分でクレジットを発行する、ベースライン&クレジット。大口需要家:全量無償割当。

 それぞれのオプションに特徴があり、国内排出権取引制度に関して具体的な議論を進める上で、参考となる試案である。オプションの種類も川上割当の様な、ほぼ全ての燃料起源CO2が対象となるものから、現在の自主行動計画をベースとしたものまで、多様な方式を示している。
 今回の試案は、国内排出権取引制度の動向を気にしている企業において、自社への影響を検討する上で参考になると考えられる。この機会にシナリオ分析等を実施してみるのも良いかもしれない。
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