インタンジブルプロセスにおけるアクティビティの定量化
| ||
▼▼▼ インタンジブルプロセスにおけるアクティビティの定量化① ▼▼▼ | ||
● |
医薬業界を例にとると、MR(Medical Representative:医薬情報担当)とMS(医薬品卸業の担当者)の場合、通常の営業活動を通じ、その年度に必ずしも自社の製品が売上高につながらない。医薬品の研究開発には10年近くかかるケースが多く、財務的な指標(キャッシュフローなど)につながるのは随分先になる。しかし、これではMRやMSの営業活動(アクティビティ)がうまく評価されない限り、意欲(インセンティブ)を欠いてしまいかねない。 | |
● |
そこで、開発中の製品ないし商品のライフサイクル価値を考慮し、現在価値に換算する作業が必要となる。 | |
【図表】 医薬業界における営業担当者の日常アクティビティを商品ライフサイクルの中で捉える | ||
| ||
(注) | 「MR」:Medical Representative(医薬情報担当)、「MS」:Marketing Specialist (医薬品卸営業担当者)のこと。 | |
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000] | ||
| ||
▼▼▼ インタンジブルプロセスにおけるアクティビティの定量化② ▼▼▼ | ||
● | 企業活動において、売上高や利益などの財務的な指標に、その時はすぐに直結しないインタンジブルなアクティビティをどのように評価するか、位置づけるかが、その後のタンジブルな売上高や利益などの従来のバリュー増価のポイントとなる。 | |
● | インタンジブルなプロセスのアクティビティを計る尺度については、例えば、顧客との緊密性を示す関係、あるいは財務的バリューとの関係性などの強さを示すGRS(Gross Relationship Strength)を用いるのも手である。 | |
◇ |
GRSは、インタンジブルなコストをキャッシュフローに転じる指標でもある。あるいは、企業バリューにつながる関係部門の個々のスタッフのアクティビティの成果を都度計るPIやバリュードライバーに通ずるものである。 | |
● | GRS指標の構成要素の例: 顧客・個客との関係に着目した場合(但し、これは商品コンセプトや両者相互のベネフィットを最大化できる一定の期間のみに適用すべきであり、通常の定型的な作業には単なるコスト高となり不向き) | |
◇ | Time : 個客との共有時間 | |
◇ | Frequency : 個客との接点をもった回数・頻度 | |
◇ | Closeness : 個客との緊密度 | |
◇ | Collaboration : 個客との協働アクション | |
| ||
【図表】 GRS概念によるインタンジブルプロセスの定量化 | ||
| ||
(注) |
「GRS」:Gross Relationship Strength(作者の造語:インタンジブルなコストをキャッシュフローに転じる指標)、「cVC」:collaborative Value Creation(作者の造語)のこと。 | |
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000] | ||
▼▼▼ インタンジブルプロセスにおけるアクティビティの定量化③ ▼▼▼ | ||
● | インタンジブル指標測定によるITと戦略の統合マネジメントにおいても、ICTマネジメントが威力を発揮する。 | |
● | KPIの導入には、重要個別プロセス別の成果測定の項目、即ちa)商品・サービスの開発、b)顧客の維持・獲得、c)デリバリーの迅速化、d)信頼性・品質の観点から捉えることが有効である。 | |
● | 加えて、KPI導入とその効果を計るための、専門的なプロセスチームを創設して進めることが有効である。 | |
◇ | 成果獲得のプロセス、即ち途中段階にはマイルストーンを置き、適宜、自身のアクティビティをチェック、軌道修正などができるよう、各アクティビティの状況をあたかも飛行機内のダッシュボードのように視覚化(ビジュアル化)しておく工夫がポイントとなる。 | |
◇ | その可視化には、ITやIS(情報システム)を適宜援用することで効果を出していける。 | |
| ||
【図表】 プロセス別KPIを用いたICTマネジメント | ||
| ||
(注) | 「ICT」:InfoCommunications Technology, Innovation & Change Technologyマネジメントの意味。「KPI」:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)のこと。 | |
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2001] | ||
|