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次世代携帯電話の市場動向について


▼▼▼ 次世代携帯電話の市場動向について① ▼▼▼

背景

欧米を中心とする携帯電話市場では、GSMキャリアを中心にSIMカードによるサービスが提供されている。


日本では、NTTドコモとJ-フォンが次世代携帯電話サービスにおいて、W-CDMA方式を採用することから、UIM(User Identity Module)の装着が必須となっている。

既にJ-フォンでは、R-UIM(Removable UIM)での提供を検討しており、日本の携帯電話市場でも新しいサービス形態が提供されることとなる。

以上のような背景を考慮し、,次世代携帯電話市場におけるUIM導入に関する調査・分析を行う。

次世代携帯電話各社のサービス推移見通し

現在の状況では、KDDIが144Kbpsクラスのサービスを最も早く全国展開を可能とするものと想定され、かつ600Kbpsクラスのサービスへの移行を段階的に行う方法が有効に機能することになろう。

NTTドコモは、iモ―ド(PDC)サービスの切り替えや、PDC基地局設備の問題(PDCのものがW-CDMAでは使えない)などのため、サービスの移行に課題がある。

既存サービス(破線)から新規サービス(実線)への移行時の、ユーザーの動向(乗り換えなど)がポイントとなり、この際にUIM導入の失策は許されない(モバイルネット市場の優位性を失いかねない)。


【図表】 次世代携帯電話各社のサービス推移見通し

(出所) 日本総合研究所作成[2001年4月]


▼▼▼ 次世代携帯電話の市場動向について② ▼▼▼

次世代携帯電話における各社事業の見通し

W-CDMA方式とcdma2000方式の2方式に分類されるが、各社とも①他社との比較優位性を堅持していけるかどうか、②UIMが重要機能となる個人認証やセキュリティ確保等を前提とする、eコマースや今後のcコマース(collaborative Commerce)に向けた戦略、の2点が特に重要となる。


【図表】 各社の特徴比較

(出所) 日本総合研究所作成[2001年4月]


▼▼▼ 次世代携帯電話の市場動向について③ ▼▼▼

UIM導入による流通構造の変化

UIM導入により、端末メーカーと携帯電話サービス事業者が分離され、それに伴い代理店を含む流通構造が大きく変化する可能性が高い。

次世代携帯電話設備の増加により、ユーザーへの負担は増える。個人消費者においては収入の2%程度(目安)を通信量に割ける許容値として、関係プレイヤーの収益構造が決定されよう。

【図表】 UIM導入による流通構造の変化

(注) ユーザー1人が2年間で端末を買い替え、2年間分の支払い額を各種サービスの対価の源泉とした場合を想定。
(出所) 日本総合研究所作成[2001年4月]


▼▼▼ 次世代携帯電話の市場動向について④ ▼▼▼

ARPU低下傾向を食いとめ、それを引き上げられるか

多くの携帯電話会社では、ARPU(月額の一人当りの収入)がこの2年間ほど、低下傾向にある。今後この傾向が強まると予想されるなか、一層のデータ通信需要を高め、いかに多くのユーザーを自陣側に引き込めるかが各社のポイントとなる。そのためには、UIMをバンドリングしたかたちの新規データサービスの行方にかかっている。


【図表】 ARPUでみた携帯電話収入の見通し

(出所) 日本総合研究所作成[2001年4月]