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RIM 環太平洋ビジネス情報 2004年4月Vol.4 No.13

東アジアにおける人材交流の行方

2004年04月01日 今井宏


要約

  1. 東アジア各国では、国際競争力を強化するために既存産業の再構築、産業の高度化、先端分野での技術開発などが不可欠となっており、高度な技術や知識を有する専門技術者に対するニーズが高まっている。また、日本、台湾、韓国などでは少子・高齢化に伴う労働力不足が懸念されており、外国人労働者の受け入れの検討を迫られる可能性がある。一方、東アジアの多くの国では国内の雇用情勢が悪化しており、海外への労働者の送り出し圧力が強まっている。

  2. 労働者の送り出しが多い国は、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムなどである。一方、受け入れでは、香港、シンガポール、日本、台湾、韓国などである。また、マレーシアやタイでは100万人規模の外国人労働者が流入しているといわれる。労働者の移動に関しては、a.外国人労働者への依存度が高まっていること、b.域内移動の割合が高いことの2点が指摘できる。

  3. 東アジア各国では高度専門技術者の受け入れを原則として規制していないにもかかわらず、欧米諸国と比較してその数が少ない。また、大半が企業内転勤者で、研究者などの移動が少ないことも問題である。一方、未熟練労働者の受け入れは規制が多いにもかかわらず、高度専門技術者に比べて圧倒的に多い。

  4. 域内における人の移動の促進は、a.送り出し国、受け入れ国の双方に利益が生じること、b.優秀な労働者が域外に流出した場合には域内経済への損失が生じることから、各国経済の発展に貢献するばかりでなく、地域経済統合の効果を高める意味でも重要であるといえる。また、欧米諸国では高度専門技術者の積極的な受け入れ政策を打ち出しており、東アジア諸国も早急な対応が必要となっている。

  5. 高度専門技術者の域内移動を促進するためには、a.各国における労働者の受け入れにかかわる自由化の促進、b.受け入れ国における入国および滞在手続きの改善、c.受け入れ国における外国人労働者にとっての魅力作り、d.域内における労働者の移動の阻害要因の除去などが必要となる。
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