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高橋進の主張

長寿化の光と影

2019年8月27日

ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授はベストセラーになった「ライフシフト」の中で「長寿化は人生の贈り物である」と書いています。人生100年時代が到来し、65歳で引退し、35年余りの余生が楽しめるのは素晴らしいことです。ただし、十分な年金と蓄えがあればの話です。でなければ、少しでも長く働き続けなければ、老後資金を確保できません。グラットン教授は、今の若い世代は、現役の時から収入の多くを貯蓄に回したとしても、年金と貯蓄で長い老後に必要な資金を確保することは難しいと試算しています。

日本でも、「老後2,000万円不足」という試算が波紋を呼びましたが、そもそも年金だけで老後資金を賄うことは難しく、若い世代ほど、年金を補うための蓄えを作ることも容易ではありません。

年金財政維持の観点からは、支給開始年齢の引き上げや給付水準の調整などが検討課題ですが、家計にとっては、老後資金を国に頼れず、自分で蓄えを確保する責任がますます大きくなり、老後の安心は確保できません。

同時に、老後の生活に困窮する世帯が増加することが予想されます。すでに、米国などでは、高所得層の方が低所得層より寿命が延びていくという寿命格差が表面化し、今後は健康格差が拡大していくと言われています。長寿化社会では、所得や資産の格差が、老後にも大きく影響してくるわけです。

長寿化の影の部分にどう対処していくかは、各国に共通した課題です。日本では再び社会保障制度改革の議論が始まりますが、人生100年時代に向けた社会保障制度をどのように再設計するのかという視点での検討が欠かせません。同時に、低所得層や貧困層をどう支え、貧困の連鎖をどう断ち切っていくのか、といった社会政策の視点がますます重要になります。

チェアマン・エメリタス(名誉理事長)
高橋 進 Susumu Takahashi

経歴

  • 1976年一橋大学経済学部卒業
  • 1976年 ㈱住友銀行(現三井住友銀行)入行
  • 1990年 ㈱日本総合研究所調査部主任研究員出向
  • 1996年 同 調査部長/チーフエコノミスト
  • 2004年 同 理事
  • 2005年 内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
  • 2007年 ㈱日本総合研究所へ副理事長として復帰
  • 2011年 同 理事長
  • 2018年 同 チェアマン・エメリタス(名誉理事長)就任(現在に至る)

政府職務等

  • 内閣府 休眠預金等活用審議会 委員 兼 会長(現在に至る)
  • 横浜市 専門委員、新たな劇場検討委員会 委員 兼 委員長(現在に至る)
  • 内閣府 沖縄振興審議会 委員 兼 会長(現在に至る)
  • 内閣府 パラダイムシフトと日本のシナリオ懇談会(現在に至る)
  • 法務省 出入国管理政策懇談会委員(現在に至る)
  • 内閣府 経済財政諮問会議議員(2013.1 ~2019.1)
  • 内閣官房 一億総活躍国民会議議員
  • 内閣官房 働き方改革実現会議議員
  • 内閣官房 人生100年時代構想会議議員
  • 内閣府 宇宙産業振興小委員会 委員 兼 座長
  • 法務省 外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に関する検討会、「国民の声」を聴く会議、等

メディア出演(TV・講演)

2019年
  • 8月27日(火)13:00~15:30 岩手・秋田・山形合同中央研修会 於 全国町村議員会館
  • 9月9日(月)~10日(火)23:00~23:55 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
  • 9月 17日(火)21:15~21:30 日経CNBC「ヴェリタストーク」
  • 10月2日(水)9:30~11:30 東邦銀行 於 福島本店
  • 10月17日(木)12:00~14:00 沖縄経営者協会 於 ロワジール那覇

著書

  • 『ワールドビジネスサテライト 再生ニッポン』(2008年8月共著)日経ビジネス人文庫

過去の定期執筆

  • 日本経済新聞月曜朝刊「週目点」
  • Nikkei Net「BizPlus」
  • 産経新聞「紙面批評」
  • SMBC日興証券ホームページ「高橋進の経済コラム」
  • 日本商工会議所「石垣」「高橋進の経済ナビ」、等
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