Business & Economic Review 2011年7月号
【特集 グローバリゼーション下のわが国温暖化対策と 環境ビジネス】
国際競争力・炭素リーケージに配慮した国内排出量取引の制度設計
2011年06月24日 上智大学経済学部教授 有村俊秀、関東学園大学経済学部准教授 武田史郎
1.はじめに
京都議定書の第一約束期間の終了を前にして、ポスト京都議定書の議論が、国際的に繰り広げられている。特に、各国の国内政策としての排出量取引が大きな注目を受けた。EUは2013年以降も、EU域内排出量取引制度(EU-ETS)を続けることを早い時点で宣言した。アメリカでも民主党のオバマ政権が誕生し、政権公約の一つとして、国内排出量取引制度の導入が掲げられた。アメリカ北東部では、地域温室効果ガスイニシアティブ(RGGI)という排出量取引制度がすでに導入されている。