Business & Economic Review 2010年10月号
【特集 アメリカの中間選挙以降の政策課題】
オバマ大統領を待ち受ける暗雲
2010年09月24日 Desmond Lachman Resident Fellow, American Enterprise Institute for Public Policy Research（AEI）
１．オバマ政権の経済運営
（1）はじめに
2009年１月20日に就任したオバマ大統領を待ち受けていたのは、大変な混乱状態にある国内経済であった。実質国内総生産（GDP）が年率６％で縮小するだけでなく、労働市場では毎月60万人分の雇用が消失し、株式市場では大幅な落ち込みが続いていた。さらに、前例がないほどの貸付損失を抱えて深刻な機能不全に陥った金融システムと、史上最大のバブル崩壊の余波に悩まされる住宅市場が、アメリカ経済の先行きに暗い影を落としていた。