Business & Economic Review 1999年06月号
【MANAGEMENT REVIEW】
惣菜店チェーンとコンビニエンスストア-都道府県別マクロ生産関数による政策評価の試み
1999年05月25日 原田喜浩
要約
コンビニエンスストア(以下CVS)業界では、昨年からオリジンショックという言葉が使われはじめた。これは「オリジン弁当」という持ち帰り弁当・惣菜の専門店(以下、惣菜店チェーン)が出店した近くのCVSでファーストフード(弁当・惣菜・パン・サンドイッチなど、以下FF)の売上が落ち込む現象を示したものである。
CVS業界は他業態に先駆け、情報システムの強化、独自の流通システムの構築、プライベートブランド商品の開発などにより、従来型の業種から売上を奪いながら成長を遂げてきた。しかし、CVSのFF部門に脅威を与えているオリジンショックの例は、従来型の業種も売り方の差別化により、CVSに対抗可能であることを示している。
1998年のCVS店舗数が全国で51,575店に対し、惣菜店チェーンは最大手の「オリジン弁当」でさえ、123店舗にすぎない。そのため、オリジンショックは「オリジン弁当」が出店した地域でのみ起きている現象にすぎず、統計データに影響を与えるには至っていない。しかし、オリジン弁当が2003年までに1,000店舗をめざし、牛丼チェーンの吉野屋が「おかずの華」ブランドで参入するなど、惣菜店チェーンの店舗数は拡大の傾向にある。そのため今後多くのコンビニが「オリジンショック」を経験するものと思われる。
本論文では、CVSのFF部門と惣菜店チェーンの間でどのような競争が起きているのかを分析したうえで、惣菜店チェーンの成長がCVS業界の競争に大きな影響を与える可能性があることを示した。