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Business & Economic Review 2000年07月号

【MANAGEMENT REVIEW】
書籍の電子商取引発展のための課題-既存流通システムの問題とその解決の方向性

2000年06月25日 陣内智典


要約

書籍の電子商取引は、既存流通システムのうえに成立しているといえる。ところがこの既存流通システムは、インフラ未整備に起因する問題を抱えている。電子商取引における読者利便性を拡大するためには、インフラ整備を早急に行わなければならない。 書籍の電子商取引は、以下の特徴をもっている。
・ BtoCモデルは読者起点(読者の発注起点)、BtoBモデルは客注に基づく書店の発注起点となっており、実需を反映した発注起点となっている。

・ 読者の視点からみた電子商取引の特徴としては、(1)いつでもどこからでも書籍が注文できる、(2)広い品揃のなかから、欲しい書誌を容易に自由に検索できる、(3)近くに書店がない地方からも比較的安価な手数料で書籍が入手できる、(4)Amazon.comなどにおいては、ディスカウントで書籍を入手できる、(5)書籍の入手方法について選択肢が増える、といったことがあげられる。

・ BtoBモデル、BtoCモデルのいずれも、バックエンド部分は、既存の書籍流通システムそのものであるため、既存のシステムと同様の問題(客注品に対して、(1)入手可能か否か不明、(2)何時入手可能であるのか不明、(3)入手リードタイムが長い、といった読者不満として表面化している)を抱えている。
既存流通システムは、中小事業者中心の産業構造による情報化投資の遅れや標準化の遅れ、取次会社のクローズドな仕組の存在といった理由から、以下の業界インフラ部分に問題を抱えている。
・ 入手可能な書籍をカバーする業界統一の書誌マスタが存在せず、各企業努力により可能な範囲でマスタを構築している。

・ 書店が、出版社や取次会社の正確な在庫情報にアクセスできない。

・ 受発注が電子化されていない。
業界のインフラ整備を推進するにあたって、以下の取り組みが必要である。
・ 業界リーダーのイニシアティブによる、業界流通情報基盤整備を一元的に調整する組織の設立

・ 書誌マスタ、出版社在庫情報整備

・ 受発注の電子化

・ 商取引ルールの整備
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