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シンクタンク・コンサルティング部門の
パーパスについて

先行き不透明で正解がない時代であるからこそ、供給側の視点に偏ることなく、
むしろ将来世代、一般市民や自然環境など、需要側の視点から「ありたい未来」を考え続け、カタチにしていくシンクタンク、コンサルティングでありたいと考えています。

そして、10年以上先の次世代の社会・産業の可能性やあり方を探索・構想し(先見力)、企業・行政・大学・メディア・市民など多様なステークホルダーの声を傾聴しながら、共に創発・実装していくことで(共創力)、我々や次世代が真に希望が持てる「ありたい未来」を構想・実装していきます。

パーパス 次世代起点でありたい未来をつくる。傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく。

メッセージ

なぜ、いま日本総研がパーパスを考えるのか?

代表取締役社長 谷崎勝教

VUCAと言われる時代変化の中でJRI日本総研の社会的存在意義(パーパス)について皆で考え始めました。創業理念から将来の環境変化までを皆で対話し、その対話から生まれた第1弾の整理が今回のステートメントには込められています。

Q:社員との対話型集会を重ねる中で、パーパスについて改めて考えることを思いつかれたと聞きますが、その背景や動機は?
シンクタンクとしての中立性を大事にし、かつリサーチ・インキュベーション・コンサルティングの機能を併せ持っていながらも、これら機能が連携することによるポテンシャルや実績を世の中の人にご認識頂けていないばかりか、実は社員も自覚できていないことを大変もったいなく感じた為、今回改めて明文化してみることにしました。
Q:パーパス・ステートメントにはどのような想いをよせていますか?
日本総研ではこれまでも「次世代の国づくり」というスローガンを掲げてきましたが、その主な対象は国や自治体、大企業だったかもしれません。しかしこれからは様々な市民や未来を担う若い世代の方々をも巻き込んで、新たな社会の価値を共に考えていくような取り組みが内発的に起こっていくことを期待しています。
Q:パーパスに基づいた新たなアクションへの期待は?
JRIのパーパスを象徴する取り組みが次々と新たに生まれてくることを期待しています。それは例えば企業という大きな船の向きを新しい方向へ牽引する引船のような取り組み。私の役目はこういった新たな引船が創られる環境や風土づくりを行うことだと思っています。

「社会価値デザイン工房」を構想する

専務執行役員 木下輝彦

次世代起点でありたい社会を描くために、日本総研の研究員やコンサルタントは、どのような心構えやアクションで取り組めばいいでしょうか。

Q:パーパスを実現していくために「社会価値デザイン工房」構想をお持ちだと聞きました。どのようなものでしょうか?
リベラルアーツを扱う企業内大学の進化版です。これからの社会に対して影響力のある外部の識者と、高い専門性を持つ弊社の研究員が「傾聴と対話」を繰り返し、社内外の多様性を紡ぎながら新たな価値を世に発信してゆく場を設ける予定です。VUCAの時代では、これからの社会のありたい姿を内省的に創出する構想力が、シンク&ドゥタンクの研究員にも求められると思います。これは社内研修等で研さんされるものではなく、長期的に多様な議論を通じて知的体力を高めてゆく必要があると考えています。
Q:この構想になぜリベラルアーツを取り上げたのでしょうか?
これは単に専門性や教養を高めようというものではありません。環境問題や民族問題など地球規模の諸問題が深刻化している現代、新たな価値創造には専門分野を超えた柔軟で自由な発想が必要になります。また、われわれの視座を高め、視野を広げることで、相対的に自らを振り返る謙虚さや、他者への敬意を育む必要があるとも考えています。そのためには、われわれとは全く異なる環境で、異なる価値観や専門性を持って活動される方々と越境して対話することで、ありたい未来や新たな社会価値の共創に向けて、教養と専門の統合を図る場(工房)が必要ではないでしょうか。社外の皆さまにもぜひメンバーに加わっていただきたいと考えています。
Q:長期的な視点での人材開発ですね、何を成果とするのでしょうか?
私たちの資源は人=研究員なのでその人材育成の仕組みに投資をして、将来彼らが社会に対して発信する新たな価値がその成果となります。この取り組みは経済合理性を持たせて何年目でリターンを得るという類いのものではありません。もしかすると日本総研を出て起業して価値発信を行う人や、アカデミアに軸足を移す人も出てくるかもしれませんし、逆に社内外と価値発信組織を新たに立ち上げるかもしれません。そのような動き方や働き方も見据えて、個々の研究員の次世代社会に対するWILLに投資する覚悟で臨んでいます。

人に寄り添い、人が動く政策を

理事長 翁 百合

前例のない速さで人口減少と超高齢社会を迎え、日本の対応に世界から注目が集まっています。しかし、当事者の共感なしにはありたい未来に向けた課題解決は成しえません。

Q:共生社会への手引きとなる提言をされてきました。どのような思いで取り組まれていたのでしょうか?
エコノミストは客観的な分析が多いのでクールな印象を持たれていますが、人の視点に立った解決策を模索しています。検討では健康・医療分野の専門家が多数を占める中、金融システムを専門としてきた自分は角度を変えて、社会が求めていることは何かを問うようにしていました。社会保障は福祉だけでなく、子育て支援や次の仕事への職業訓練といった人への投資も重要な柱です。就労は経済的な安定のほか、社会参加による心身の健康維持の効果もあることから、雇用政策とセットで考え、一人ひとりが長く社会に参加できるようにする。健康管理を促し、病気や重症化の予防の応援をしていく。こうしたパラダイムシフトの重要性を訴えてきました。
Q:パラダイムシフトの発想にあたり、影響を受けたことはありますか?
北欧からは多くを学びました。例えばスウェーデンでは王妃が認知症フォーラムに自ら関与し、ケア関係者、医療研究者、ビジネスといった多様な分野から人が集まり対話をし、自立を支えています。認知症の人の身の回りすべてのことを地方自治体が支援するという取り組みも進んでいます。ほかにも失業者に職業訓練を行い、再就職を促す政策を推進するなど、企業には厳しい一面もありながら、人には優しいあり方が特徴です。国民には連帯の意識があり、政府への信頼も厚く、大胆な改革が受け入れられています。人に寄り添った実践の積み重ねで、充実した福祉と高い生産性の両立をしているのです。
Q:人に寄り添う視点はどのように培っていけばいいのでしょうか?
多様性のある環境に身を置くことは重要です。共生社会において共感したり応援したいと感じたことを、実践に反映していけるとよいと考えます。政策においても、人の心にヒットするものでなければ、人は動かないと実感しています。日本では一部の声だけで政策が作られ、一般に知られる機会も少ないと感じることもありました。生活者の視点も大事にし、一緒に考えていく機会が増えてほしいと願っています。