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ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで全盲のピアニスト辻井伸行さんが日本人初の栄冠を勝ち取ったニュースには本当に感動しました。

2009年06月23日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2009/06/23)
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで全盲のピアニスト辻井伸行さんが日本人初の栄冠を勝ち取ったニュースには本当に感動しました。ピアノについてそれほど高い理解を持っている訳ではないのですが、辻井さんの演奏には観る者を惹きつけ、感動させる力があると思いました。辻井さんの栄冠の意義や努力を軽々に評価するだけの見識を持っていませんが、報道を通じて、いくつか改めて何かを気づかせて頂いた言葉がありました。例えば、「辻井さんの演奏には無駄な動きが無い」という声がありました。それが故でしょうか、確かに、辻井さんのピアノを演奏する姿は観る人を引き込む純粋な吸引力があります。

一方、それは、見えるがゆえにどこか外観を意識し本来伝えるべきことにバリアを張ってしまうことがある、ということでもあります。

我々は、自らを取り巻く環境を五感で捉えて判断をします。しかし、五感が全てを捉えられることはないので、本当の世界は我々が理解しているものとは異なっているはずです。科学的であるかないか、という議論も同じ範疇にあると思います。そして、人間は広い意味での知覚や能力の限界が世界の限界であるかのような錯覚に陥りがちです。それが嵩じ、見えるものに拘泥し、見えないものへの敬虔さを失えば、驕りに至ります。

辻井さんはある問いに対して「両親の姿は今でもよく見えています」と応えたといいます。その見え方は我々より深く鮮明かもしれません。ピアノの音は、芸術としての感動に加え、何が見えているのか、という問いを伝えてくれました。
[ Ikuma's Photo ]
[写真上]成田空港でのランディング風景です。
 ※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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