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不況時ほど大切なモチベーション対策 第2回 モチベーションマネジメントのためにすべきこと

2009年05月25日 寺崎 文勝


業績悪化に伴いコスト削減・人件費抑制が行われる今、お金などの外的報酬による動機づけではなく、内的報酬による内側から沸き出る内発的動機が大切であることは、前回のお話から分かりました。
では内的報酬には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。


 内的報酬の種類は様々です。一定の傾向はありますが、細かく見ると、人によって異なりますし、同じ人でも状況によって異なります。挑戦しがいのある仕事をしたときの達成感を重視する人もいれば、自己成長を最も重視する人もいます。
 企業にとって大切なのは、内的/外的報酬により動機づけされ、熱心に働き成果が生まれ、それがさらなる内的/外的報酬につながる、そんな良い「サイクル」が回っている状態にすることです。



そのサイクルを実現するためにどうすれば良いのでしょうか。

まずはサイクルがうまく回っているかどうか、いないのであれば、何が阻害要因になっているのか把握します。その上で、阻害要因を取り除くための対策を講じていきます。
 把握する上でキーワードになるのが「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは、仕事にのめり込んでいる状態、熱心に仕事をしている状態を指す概念です。 成果が出る仕事ぶりが実現されているかどうかは、エンゲージメント状態にあるかどうかにより把握することができます。これを把握しないと、満足はしているけれどぬるま湯状態なのか、それとも熱心に働いている状態なのか、区別が付きません。
 ただし、エンゲージメント状態にあるとしても、価値のある内的/外的報酬が得られていない場合は、一生懸命働いているが「疲弊している状態」である可能性があります。 疲弊状態に陥った社員は、やがて成果が出せなくなり、うつ状態など心理的な病気にかかるだけでなく、その場からたびたび逃げ出すようになったり、失敗を他人のせいにしたりと、周囲に悪影響を及ぼす恐れもあります。
 熱心に働くだけでも、報酬があるだけでもだめなのです。エンゲージメントと報酬、両者をバランスさせることが大切です。

エンゲージメントの具体的な把握の仕方と、対策方法を教えてください。

 エンゲージメントと報酬の状況を把握する方法に、社員意識調査があります。 エンゲージメント状態が分かる指標と、報酬の要素を盛り込んだ意識調査を実施し、ともに十分かどうかを分析します。それにより、エンゲージメント状態を生むための阻害要因となっているもの、報酬を獲得するための阻害要因となっているものを明らかにします。
 もし「仕事に必要なスキルがない」ことが、仕事に没頭することを阻んでいるのであれば、スキルを身につけるための育成施策や、スキルが高い人材を確保するための採用施策、適材適所を実現するための異動・配置施策などを改善/策定することが、対策につながるでしょう。 調査の際、満足度だけを指標にとってしまうとこういったことに気付けません。熱心に仕事をしたり仕事に没頭したりしているか、つまりエンゲージメント状態にあるかどうかを指標に盛り込むことが、調査する上でのポイントとなります。
 社員が熱心に働き、その結果、成果が上がり報酬を得られることで、さらなる動機づけがなされる。そんな状態にあるかどうかは、現場にいれば、そこはかとなく感じることができるものです。まずは現場の状況をヒアリングすることから始めても良いでしょう。
 社員が本当にイキイキと働くために、イキイキと働いた結果が成果に結び付くために、エンゲージメントと内的/外的報酬のつながりを常に意識してみてください。そこから少しずつ変わるのだと思います。
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