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コラム「研究員のココロ」

コンサルティングの現場から思う大事なこと

2008年03月31日 加藤秀雄


 もうすぐ、コンサルタントとなって21年となる。自分の体験したこと、クライアントから聞いたクライアント自身や他のコンサルティング会社のこと、先輩・同僚から聞いたこと、入社希望の他社コンサルタントから聞いたこと等、幅広い実際情報から、コンサルタントとして大事であると感じている点を書き留めてみたい。

1. クライアントからの「信頼感」

 コンサルティングは他のサービス財と同じように購入契約前に試乗や試食ができない。しかも高額なものとなるため、契約されるクライアント側としては「このコンサルティング会社、このコンサルタントに任せてよいかどうか」を慎重に評価、判断をされる。その際には、結局、信頼感を感じるかどうか、一番信頼感を感じたのはどこか、という判断軸になるようである。では、クライアントにとってその「信頼感」はどこから、どう形成されるか。企画提案書やそのプレゼンテーションの質はもちろんとして、それ以外の要素は何か。クライアントから聞こえてくるのは次のような話である。

  • 知人や自社の属する業界人からの「導入してみたが、良かった」というクチコミを重視した

  • 自分の会社のことのように担当コンサルタントが当事者意識をもって熱心に推進してくれた

  • 担当コンサルタントの態度、マナー、話しぶり、外観等に満足できず、正しい選択ができなかったと後悔した

  • 依頼したひとつのプロジェクトが終了した後も、その企業に関心を払い、継続的に推進結果の確認や業界情報の提供等のフォローアップをしてくれた

 コンサルティングへの信頼感は、企画書や報告・提言の品質はもちろんのこととして、これらの事例話から、コンサルティングのプロセスでの品質やプロジェクト終了後の責任感・姿勢からも影響を受けることが分かる。

2. 高い品質とは

 では、「品質」とはどのようなものか。上記の事例もコンサルティングの品質の一側面であるが、クライアントの声を引用しながら、「品質」のイメージを分かり易く、さらに豊かにしてみたい。

<情報交換~引き合い~提案~契約前後の期間における品質>

 もちろん、実行方法や視点・切り口などの企画提案書の品質が一番重要であるが、次のような「姿勢」に品質を感じられたクライアントも少なくない。

  • 依頼しようと相談したら、「貴社の状況下で、今そのテーマに取り組まれるのはお勧めできない」と別のアドバイスをされた

  • 相談したら、「実は、当社はそのテーマは得意ではない。その分野でいい評判を聞くのはどことどこですが、一度相談されてはいかがでしょうか」と誠実に対応された

<コンサルティング実施期間における品質>

 最終提案書の質が重要であることは当然であるが、次のようなクライアントの事例話も品質の多様な面を分かり易く、表現していると思う。

  • とことん突き詰めた調査分析結果や施策アイデアを毎回検討会に提供してくれ、またそれがシンプルに分かりやすく工夫した資料であった

  • やり方と勘所について、一緒に作業や討議をしながら丁寧に教えてくれた

  • 頼んだテーマ、範囲だけでなく、経営者の視点からもそのテーマを考えてくれて、助言をしてくれた

  • もう手は打ち尽くしたと諦めかけていたが、コンサルタントと一緒にゼロベースから体系的に検討し、討議していくうちにまだ方策が残っていたことが分かったのだが、今後のためにもいい体験になった

  • 思わぬ所から、参考になる事例や関連調査を探し出してきてくれ、調べてみればいろいろあるものだと分からせてくれた

 だが一方で、クライアントから見て、プロセスにおける次のような事態は、当然ながら非常にマイナスの品質(不評、不満足)となるのであるが、クライアントは現実にいろいろなコンサルティング会社とのプロジェクトで様々な体験されているようである。

  • プロジェクト中の意思疎通が円滑にできなかった(意見の一歩的な押しつけ、聞く耳や理解力の無さからの硬直性、言い放し、迅速さを欠く連絡へのリターン、等)

  • 日本語としておかしな報告書や打合せ・プレゼンテーションをされ、信頼感が薄れた

  • 大先生顔して、上からの目線で接してこられ、一緒にとことん議論しにくく、不完全燃焼だった

 クライアントはコンサルティング業界各社から上記のような体験をされている。そうした中で、当社はコンサルティングの結果成果とプロセスの両面において、品質をさらに一層向上させて、信頼感No1といわれるようなポジションを目指したいものである。その達成に向けては、コンサルタントとしての姿勢・見識・マナー、スキルや専門分野知識、突き詰めて考える粘り等、品質に重要な影響を与える要素について、より高いレベルをめざし、個人個人としての自己研鑽努力と、組織としての環境・仕組みの恒常的なブラッシュアップの両方が必要となる。
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