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10月初め、鹿児島の垂水市にバイオガスの実証試験施設を見学しに行きました。

2007年10月23日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。 (2007/10/23)
10月初め、鹿児島の垂水市にバイオガスの実証試験施設を見学しに行きました。鹿児島県の大隈半島は質の高い豚肉の産地として有名です。そこで養豚場から出る排泄物を有機発酵させてバイオガスを発生させ近隣の施設で有効利用しよう、という狙いです。

バイオガスの主成分はメタンガスですが二酸化炭素が3分の1を占め、水分や硫化水素を含むため、普通のボイラやエンジンに吹き込むことができません。また、バイオガスが発生する施設は居住や業務の施設から離れたところにあるため、バイオガスの需要を確保できないのが一般的です。そこで、メタンガスの濃度を90%以上に高め、一般のボイラ、エンジンに吹き込むことを可能にした上で、高圧圧縮などの方法で離れた場所に輸送できるようにしたのです。垂水市のプロジェクトと並行して北海道でも同様のプロジェクトを進めています。

こうしたプロジェクトを進めていて気がつくのは、再生可能エネルギーの収益性が確実に高まりつつあるということです。我々は2,3年前の天然ガスの単価を一つの目標としてきましたが、最近では地域や使い方によってはバイオガスが天然ガスに対して価格競争力を持つケースも出てきています。化石燃料の高騰が留まるところを知らない状況を見ると再生可能エネルギーが環境だけでなく、価格面でも有利になる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

もう一つ指摘したいのは、こうした新しいエネルギーの取り組みが鹿児島や北海道という東京から最も離れた地域で始まっていることです。地域再生は日本の重要な政策テーマになりつつあります。環境とエネルギーのパラダイムの転換は「持てる地方」と「持たざる大都市」という新しい関係を作るきっかけになる可能性があります。
[ Ikuma's Photo ]
[写真上・下]霧島神宮にある見上げるような巨木。南九州は自然の宝庫です。
  ※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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