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フードマイレージという言葉があります。食べ物がどれだけの距離運ばれてきたかを表す指標です。

2007年09月11日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。 (2007/09/11)
フードマイレージという言葉があります。食べ物がどれだけの距離運ばれてきたかを表す指標です。この値が大きいと食べ物が遠くから運ばれてきたことを意味します。値段が安くても多くの輸送燃料を使い、環境面で負荷をかけて消費者に届けられている食料はたくさんあります。しかし、地球温暖化問題への関心が高まる中フードマイレージの小さな食品を食べましょう、という意識はいずれ高まっていくことになると思います。ところが、残念なことに日本のフードマイレージの総量では世界中で群を抜いて大きいのです。

フードマイレージの小さな食べ物を食することは環境保全の他にも意味があります。人間は本来自然の営みの中で体が上手くバランスするようにできていますから、地物を食べることは体にとって自然なはずです。米の栽培に向いている土地であれば、米を食べることがいいのでしょうし、近くに海があればそこで取れる魚を食べることがいい、ということになります。フードマイレージに栽培のために使った化石燃料の量を加えれば、食べ物の選択に季節感を加味することもできます。季節外れの農産物を栽培するには多くのエネルギーを消費するからです。旬の物は味覚の面でも栄養の面でも優れているといいます。

フードマイレージのもう一つの効果は食料のセキュリティレベルを上げることです。日本の食料自給率は40%程度しかありません。他国と比べると著しい低さです。今は資金さえあれば世界中からあらゆる食料を手に入れることができますが、こうした状況が何時までも続く保証はありません。地球環境問題の本質は、人類が発散する温室効果ガスが地球のキャパシティを超えたことにあります。同じ様に、地球上の地面、水、太陽光、栄養分によって作ることのできる農産物の絶対量が限界に達する日も来るでしょう。地産地消で食料を選択することはそうした将来リスクへの備えにもなるのです。

自然循環と我々の生活をいかに整合させるかは間違いなく人類に課された今世紀最大のテーマになるでしょう。
[ Ikuma's Photo ]
[写真上] 松戸の自宅周辺には梨園がたくさんあります。
いつもの梨園でおじいさんと一緒に梨もぎをすると、何故か幸せ感一杯になります。

  ※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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