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前回指摘した資源価格の高騰に加え、最近顕著になっているのは食料価格の高騰です。

2008年05月13日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2008/05/13)
前回指摘した資源価格の高騰に加え、最近顕著になっているのは食料価格の高騰です。海外では、暴動や抗議デモも起こっています。投資資金の流入などもありますが、異常気象やバイオエタノールの増産、といった地球温暖化に起因する動きも高騰の一因と言われています。

「バイオエネルギー」という題名の本を書いたことがありますが、この本はそれ以前に書いた「リサイクルエネルギー」の改訂版として出版されたものです。つまり、少なくとも我々の理解では、バイオエネルギーは有機資源のリサイクルの一環として生成されることが第一義であったのです。この本の中にもエネルギー作物に関する記述はありますが、リサイクルエネルギーの位置づけを述べた後の記述です。また、内容的も低未利用地での菜種栽培などを中心にしたもので食料用の穀物をエネルギーに振り向けるという指向はありません。著者の見識というより、恐らく、これがバイオエネルギーに対する当時の一般的な理解であったのだと思います。それが、どこからか、トウモロコシなどの食料用の穀物を中心としたバイオ燃料生産が普及してしまったのです。その理由は、燃料用のカロリーを確保するために最も簡単な方法だったからではないでしょうか。

そもそも、地球温暖化問題は効率性重視で大量の化石燃料を使い続けたことに起因するものです。地球温暖化対策で求められているのは、面倒臭くても、きちんと分別するなどして資源を有効活用することにあります。バイオエネルギーもその一環で語られるべきなのです。洞爺湖サミットで日本が範として提示すべきなのは、リサイクルエネルギーのための意識の高い日本の住民生活や地道な先端的取り組みではないでしょうか。
[ Ikuma's Photo ]
[写真上]バイオマスを考えた時、森林資源は日本の貴重な財産です。
緑豊かな鬼怒川渓谷を川治ダムの堤頂から眺めました。
 ※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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