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4-15.米国における疾病予防:疾病管理(Disease Management)編(2)

2007年11月21日 山田敦弘


 Disease Management Programs(以下疾病管理プログラム)は、米国の数多くの州においてメディケイド(貧困層対象の公的医療保険)のサービスとして試行された。その結果として下記のような成果と問題点が明らかとなった。

【疾病管理プログラムの成果】
州名
結果
フロリダ州
徐々に病院費用を減少することができた。
ユタ州
心臓に関連する症状の受療が減少した。
ミシシッピ州
糖尿病への進行程度を示すHbA1cの対象者の平均値が改善した。
バージニア州
病院費用が70万ドル削減した。


【疾病管理プログラムの成果】
州名
結果
フロリダ州
薬剤費が増加した。
テキサス州
参加者が十分に確保できなかった。
ユタ州
疾病管理プログラムに費用がかかりすぎた。


(http://www.dmaa.org/pdf/DMStatePrograms.pdfより抜粋)

 疾病管理プログラムは、対象者の健康状態の維持管理だけではなく、医療費の削減等の経済的効果が期待されたために、多数の州で試行された。そのため、成果においても、問題点においても、関連する費用にかかる事項が多いことが窺えた。

■米国の経験からの学べる教訓

 State Coverage Initiatives (SCI) programのシニア・アソシエイツのWheatley氏によると、前述した米国の州における疾病管理プログラムの試行から、下記のような教訓が得られると指摘している。

  • 自動的に疾病管理プログラムに参加するような仕組みを構築し、少なくとも対象者に自分の健康状態について知ってもらう。
  • 疾病管理プログラムを提供するアウトソーサーに、その成果を保障させる。(成果つまり医療費の削減がメディケイドの費用節減につながる)
  • 疾病の種類毎に別々のアウトソーサーと契約した場合、対象者が次々とアウトソーサーを変更したり併用したりすることがあり手続きを複雑化させてしまう。
(http://www.dmaa.org/pdf/DMStatePrograms.pdfより抜粋)

 その指摘の内容は、主に疾病プログラムの実施における州とアウトソーサーとのかかわり方に関する事項が多いことが窺えた。

■特定健診・保健指導における懸念事項と成功の秘訣

 前述した米国疾病管理プログラムと日本で翌年4月から実施される特定健診・保健指導は、疾病管理を個別に実施するという面で類似点もあり、置き換えて考えてみることで実施後に起こりえる懸念すべき事項や成功の秘訣を推測することができる。特定健診・保健指導の成果は米国の疾病管理プログラムと同様に期待できるが、その一方で参加者が十分に確保できないことやプログラムに費用がかかりすぎるなどの問題点も同様に起こることが懸念される。また、Wheatley氏が指摘した内容から、成果をあげるためにはアウトソーサーに成果の保証をさせることが必要であり、契約条項に成果の項目をしっかりと入れることが、特定保健指導の成功の秘訣となると推測できる。
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