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4-10.優良健康保険組合に共通する保健事業の取り組み

2007年10月23日 


 多くの健保組合が類似の保健事業 を実施しているにもかかわらず、効果を上げ、かつ利用者(被保険者・被扶養者)の満足度が高い健保と、期待通りの成果を上げられない健保に分かれる。前者の優良健保組合はどのような工夫をしているのだろうか。このような健保組合の取り組み事例を俯瞰すると、下記の共通項目が見て取れる。「世界職産(殖産)」である。

1.グメンテーションごとのアプローチ
2.族を巻き込んだ取り組みの推進
3.目標達成の共有化とンセンティブの付与
4.健康の重要性を根付かせる場環境づくり
5.業医、保健師、管理栄養士など専門職の強いコミットメント

1.セグメンテーションごとのアプローチ
 年齢・性別・職種などで従業員をセグメント分けし、セグメントの特性に応じて高い効果が望めるアプローチ方法を研究して、セグメントごとに提供する方法を工夫している。コマツ健保では、健診受診後にスクリーニングをして、個人の健康度合いに応じて電話による治療指導(受診勧奨)やスポーツ施設でのトレーニング指導(動機付け支援)など幅広いサービスメニューを提供(詳細は同コラム4.4先進的な保健事業の取組み~マーケティングを重視した戦略立案~を参照)。

2.家族を巻き込んだ取り組みの推進
 配偶者にご主人の健康状態を連絡したり、夫婦に健康管理研修を受講してもらう等、夫人に健康を意識させる事業を展開している。ワールド健保等では、食生活の改善、禁煙運動等の取り組み等を家族ぐるみで実施し、生活習慣病対策に効果を挙げている。

3.目標達成の共有化とインセンティブの付与
 健康づくりへのやる気を喚起するためにカフェテリアプランの利用、イベント(ウォーキング・運動会)を行ない、目標を達成すると自社製品・健康関連グッズ等のインセンティブを提供している。商品が重要なのではなく、職場仲間・家族と目標を達成するプロセスを共有できる仕組みづくりが重要である。明治製菓健保ほか多くの健保では、全社ウォーキングを奨励し運動を“日常化”する取り組みを進めている。

4.健康の重要性を根付かせる職場環境づくり
 全社・事業所ごとに健康づくりの目標を共有し、取り組みの結果を発表する等して競争意識を持たせる仕組みを取り入れている。また職種によっては偏った生活習慣を余儀なくされる場合もあり、健康づくりを個人任せにするのではなく組織全体で取り組むよう意識変革を進めている。

5.産業医、保健師、管理栄養士など専門職の強いコミットメント
 個人・組織の健康づくりを全面的にバックアップする産業医など専門職の関与も欠かせない。生活習慣・性格・健康への意識などは個々人によって大きく異なるため、紋切り型の指導を実施するのではなく、個々人の健康状態を客観的に評価し、長期的に継続してもらえるような指導を実施している健保組合では総じて利用者の満足度も高く、効果を上げている。今後、保健師・管理栄養士が重要な役割を担うことからNPO法人健康経営研究会では、実践型の保健指導ロールプレイ実習会を開催し、行動変容に繋がる具体的な指針を示せる専門職の育成にあたっている。

 個別健保の事情により上記すべてに同時並行で取り組むことは難しいかもしれない。しかしながら、最低限利用者の個別特性を勘案し、継続して健康づくりに励んでもらえように利用者視点に立ち具体性のある活動作りを工夫する必要がある。
 今後の保健事業には、「職場や家庭で連帯感を持ち、共通目標を達成する企業経営と似通った推進方法」が有効だ。
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