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「公益法人にこそ理念経営が必要」【藤田 芳夫】(09.3.23)

2009年03月23日 藤田芳夫


 平成20年12月1日より、新しい公益法人制度が施行された。ここでいう公益法人とは、社団法人と財団法人のことである。平成20年12月1日以前は、民法第34条に基づき主務官庁が公益性を認めた団体を公益法人として認可してきた。



 公益法人の認可に関しては、一定の基準はあるものの主務官庁(各省庁及び都道府県)の裁量権に委ねられており、さまざまな問題が指摘されていた。新しい公益法人制度では、新たな法体系を整備し、準則主義によって法人設立が可能となったのである。
 新しい公益法人制度では、従来の公益法人から一般社団・財団法人と公益社団・財団法人とに分かれることになる。一般社団・財団法人は法律の要件を満たせば登記のみで設立可能である。公益社団・財団法人は、法律の公益認定基準を満たしているか否かを国又は都道府県の委員会が認定する仕組みである。また一般社団・財団法人に比べ、公益社団・財団法人は税制面等が優遇されている。
 従来の公益法人は、法人運営について主務官庁が監督をしていた。そのため、公益法人の中には主務官庁の指導を受けることに慣れてしまい、一部の組織では経営の自主性が育ちにくいという弊害が発生していた。しかし、新たな制度では法による明確な基準で設立・認定され、主務官庁の指導監督を受ける代わりに自主的な経営をすることが求められるように変わったのである。
 筆者は、社団・財団法人がそもそも公益法人として設立されるに当たっては、公益に資するための理念が明確にあるはずだと考えている。利益を株主等に分配する株式会社等と異なり、公益法人は組織の利益追求を目的とするのではない。公共の利益を目指して設立・運営され、所属する職員も公共の利益を実現するために活動しているのである。
 したがって、公益法人はその理念こそを経営の中核となすべきなのである。公益法人が自主的な経営を行うに当たっては、その理念を中心においた理念経営を志向すべきであり、職員に対して、理念と理念に基づいた中長期の経営ビジョンを明示すべきである。そのためには理念とビジョンの明確化を行い、法人の職員がその理念・ビジョンを共有・共感・共鳴する環境を整えることが重要なのである。

以上

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