5月13日に発表されたIEA(国際エネルギー機関)による“Gadget and Gigawatts”では、世界的にみて家庭における電力消費量の急増を問題として取り上げ、特に情報通信機器や家電製品によるエネルギー消費量の増加を問題視している。このため、報告書では、各国政府に向けてこうした機器の省エネ化を推進するよう警鐘を鳴らしている。 具体的には以下のとおりである。
●世界では最低エネルギー消費効率基準(MEPS: Minimum Energy Performance Standard)や省エネラベル(Energy Performance Label)などの政策により家電製品のエネルギー原単位削減に成功している。 ●一方で、家庭におけるエネルギー消費量は増加傾向である。家庭における電力消費量のうち、情報通信機器や家電製品による割合は15%程度だが、この割合も急拡大中である。 ●これは、エネルギー効率は向上したもののこうした機器の大型化・多機能化等によって、エネルギー効率向上による削減分を打ち消すほどのエネルギー消費拡大が進んだためである。 ●このままでは情報通信機器や家電製品によるエネルギー消費量が2022年までに倍増、2030年までに3倍、1,700TWhに至る。これにより2030年までに約280GWhの発電容量の増加が必要となる。 ●これに対して、対策シナリオを2ケース想定し、最小コストシナリオ(LLCC:least life-cycle cost=消費者への追加コストなし)を適用すれば2030年のなりゆきベースの値から30%削減、最高レベル技術適用シナリオ(BAT:best currently available technologies)を適用すれば半減が可能である。 ●求められる政府のアプローチとして (1)産業界と連携した長期的な政策目的の設定 (2)政府ならではの政策のベストミックス (3)商品ごとではなく機能ごとの政策アプローチ (4)機器における電力管理機能の充実 (5)機器のサイズに適する(厳しい)エネルギー性能の設定 (6)エネルギー効率向上に向けた政策実現のための国際協力の推進(特に電子機器)が挙げられる。