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「環境価値」の値段

2009年04月20日 青山光彦


 2009年度がスタートしました。そんな最中、4月8日の日経新聞トップに「省エネ家電 5%還元」とのタイトルとともに、国費で省エネ型家電製品の販売価格の5%をエコ・アクション・ポイントとして消費者に還元する旨が記載されていました。2009年度補正予算に関連予算を計上するようです。

 ここでいうエコ・アクション・ポイント事業とは、環境省が2008年度から導入している事業で、温室効果ガス削減行動や商品・サービスの活用・購入に対し、その多寡に応じてポイントを付与し、そのポイントの量に応じて当該行動をしたものに対して、経済的な価値で還元する仕組みのことです。2008年度に全国型が4事業、地域型が9事業採択されており、2009年度には全国型が3事業、地域型が6事業採択されています。

 エコ・アクション・ポイントは、環境配慮した事業や個人の行動を定量的な価値に置き換えたもの、いわゆる「環境価値」の一種です。この環境価値には、その他にもグリーン電力証書、グリーン熱証書、排出権(CER)、VERなど様々な種類のものがあって、近年流通し始めており、昨年2008年は「環境価値」流通元年とも言われています。

 上述のような「環境価値」は、環境配慮行動の種類とその出所などによって規定されていることがわかります。排出権(CER)は、温室効果ガス削減事業を通して国連が発行します。グリーン電力証書は自然エネルギー発電を通して、グリーンエネルギー認証センターの認定を受けた発行者(民間・公共様々)が発行します。同様に上述のエコ・アクション・ポイントでは、日常生活での個人の行動・商品・サービスの活用・購入を通して、事業実施者が発行します。

 では、「環境価値」を経済的な価値に換算する場合にどのように設定するのでしょうか。多くは、環境配慮行動を通して実際に削減されたCO2の量に応じて、その価格が設定されています。例えば、排出権(CER)では、CO2を1トン削減する行動(事業プロジェクト)から生まれる価値に対して、1500~3000円程度ですが、グリーン電力証書では、自然エネルギーの種類にもよりますが、約10,000~18,000円程度(1kWhあたり5~10円程度)、また、エコ・アクション・ポイントでは、2009年度採択された関西広域エコポイントモデル事業において、5000円(0.2kg-CO2=1ポイント=1円相当)となっています。

 このように、同じCO2を同量削減したとしても、その価値はそれぞれ異なってくることがわかります。
 この要因としては、環境価値の創出面からは、「環境価値の出所の確からしさ(第三者による認証の有無および第三者の性格)」「環境価値の発生のしやすさ及び量」、環境価値の利用面からは「環境価値の用途・流通マーケットの広さ」「環境価値そのものの価値(ブランド・イメージ・訴求力など)」などが挙げられます。

 環境価値は、無形のものであり信頼性が重要といえますが、今回のエコ・アクション・ポイントのような国が旗振りをしている事業であれば一定の信頼性は保たれることになります。エコポイントは、従来より環境版「地域通貨」としての色合いが強く、原資の確保が根底の課題にあったために、なかなか継続しないケースが多かったのですが、今回のように、その一部を国が負担する、ということを考えると、国もようやく省エネ家電の普及による民生家庭部門での温室効果ガス削減に対する本気になった、ということでしょうか。ただし、それら原資の大元をたどると、結局は国民の税金で賄われていることを忘れてはなりません。
 今回の対策は、景気刺激策としての側面、環境対策(省エネ機器導入促進)としての側面の両面が混在しており、果たして本当に「一石二鳥」となりうるのか、今後の経過を見守りたいと思います。
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