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CDP6における企業の回答状況の検証

2008年12月10日 黒澤仁子


CDP(Carbon Disclosure Project)6の回答が公表されたことを受け、ここでは世界の製薬企業6社(AstraZeneca、GlaxoSmithKline、Johnson&Johnson、Novartis、NovoNordisk、Pfizer)を例にとり、(1)企業はどの程度回答しているか、(2)回答は企業間比較可能かという点を検証します。

(a)気候変動リスク/チャンスについて
 法規制/物理的/一般的リスク及びチャンスは、6社全てが回答しており、比較可能です。反対に、「リスク/チャンスが与える財務及び事業への影響」は、半数の企業が評価手法名等の質問に準じた回答ではなく、それ以外の企業の回答も「エネルギー費用の増大」など抽象的な回答であり、企業間比較も難しい状況です。

(b)排出量
 GHGプロトコルに基づくスコープ1及び2の排出量(全体・AnnexB国)は全社が回答しており、読み手が計算を行えば、原単位等による比較が可能です。一方、スコープ3(社員の出張/外部流通・物流/製品・サービスの使用・廃棄/サプライチェーン)の回答状況は悪く、サプライチェーンの排出量については、1/6社の回答にとどまっている状況です。

(c)パフォーマンス
 全社が目標値、削減投資額・期間、効果等を回答しており、比較可能です。ただし、目標値は総量か原単位か、また、削減対象は総排出量か特定スコープのみか等が不明確であり、回答を読み込む必要があります。また、将来の排出量については、3/6社(AnnexB国については1/6社)が回答しており、比較は可能ですが、回答状況はよくありません。

(d)ガバナンス
 全ての企業が質問に準じた回答をしており、比較可能です。また、組織体制についてはCDP2から継続的に実施されている質問であり、企業体制がより組織的になっていることを見ることができます。

 以上が検証概要です。なお、回答には稀に数値の記載ミスがあります。投資家がより活用できるよう、企業は慎重に作成し、CDP事務局は確認体制を整える必要があるといえるでしょう。
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