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環境配慮型預金は本当に環境に配慮しているのか
2008年10月27日 黒澤仁子
「環境配慮型預金」。耳慣れない言葉ですが、預金残高もしくは金利の一部を、金融機関が負担し、環境団体に寄付等する預金商品です。金利の上乗せ等の条件が付随する商品もあります。
ここでは、個人が身近に取り組める環境活動の一つとして、環境配慮型預金商品について記載します。
弊社の調査によると、日本国内の環境配慮型預金商品の数は、環境配慮型金融商品の約2割を占め、残りの8割は融資商品です。最近、当該預金商品は個人預金者から多くの支持を得ており、2007年度時点の残高で見ると、滋賀銀行では前年比約49%、びわこ銀行では約43%増加しました。これは、近年の地球温暖化問題の深刻化を受けて、自身の預金が地球温暖化対策として有意義に使用されることを意識する人が増加していること、加えて金利の上乗せ効果によるものと考えられます。
しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。環境配慮型預金商品は本当に環境に配慮しているのでしょうか?
商品内容を調べると、預金金利や残高の一部を地球温暖化対策等に用いる記載はありますが、預金がどのような企業に融資されるのか明記されていません。これは、現在、金融機関は預金段階で融資先を特定することができないことによるものです。したがって、温暖化に寄与する企業の融資資金になる恐れがあり、その場合、温暖化問題を助長する可能性がありますし、また、預金者の環境意識や活動が損なわれる可能性もあります。
2008年7月、滋賀銀行は事業者向け融資商品「未来の芽」の販売を開始しました。これは、環境配慮型預金を原資として環境配慮企業に融資を行う国内初の商品です。
今後、地球温暖化問題が深刻化し、我々も一層の削減努力を果たす必要がある中、環境配慮型預金は身近にできる環境活動として大きな役割が期待されています。そのためには、金融機関の真に地球環境に配慮した商品開発と、預金者が「もの言う預金者」の意識を持つことに期待し、筆者もその手伝いをしてきたいと思います。