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一番環境に優しい自動車とは?
2008年10月07日 熊井 大
「適材適所」とは、「人の能力・特性などを正しく評価して、ふさわしい地位・ 仕事につけること」を表す四字熟語であることは、恐らくすべての日本人は知っている。自動車業界においては、「適地適車」という「それぞれの地域ニーズに合わせたきめ細かな自動車づくりを実践すること」を表す言葉が存在する。
近年、地球温暖化問題が大きな潮流となり、原油高も企業や家庭に影響を与えている中で、自動車の購入時に、企業や個人ドライバーがいかに環境(燃費)の良いものを選ぶかが注目を集めている。そのため、自動車メーカーは自社製品の環境性能をいかにアピールするかが、自動車の購買のみならず、シェアの確保に大きく影響している。
近頃、私は「どのクルマが一番環境に良いんですか?」と聞かれることが多い。適地適車を先に説明したが、一番環境に優しい自動車とは、一概に言える話ではないのでいつも困ってしまう。具体的に、ハイブリッド自動車、電気自動車を例にあげて、以下で説明する。
1)ハイブリッド自動車
・恐らく街乗りが主な使用方法で、3大都市圏のように渋滞の多い地域であれば、モーター(電気モード)で走行する場面が多いので燃費が良い。
・しかしながら、渋滞が少ない地域や高速道路で移動する場合、モーターが付いている分、車重が大きくなるので、同じ排気量の高性能車より燃費が劣る場合がある。
2)電気自動車
・一般系統の電力でバッテリーを充電しても環境配慮性は高いし、発電時に環境配慮を行えば、一層の環境配慮となる。
・街乗りだとよいが、少々遠出をするには走行距離が足りない。電気スタンドが普及をしていないので、自動車が走行中アクシデントで動かなくなった場合、対応が難しい。そもそも、現在の性能では、車両スペースに限界がある。
3)クリーンディーゼル自動車
・ガソリンエンジンに比べて、エンジンの構造としてそもそも燃費が良い。
・メンテナンスを適切に行わないと、Nox・PM等の地域環境問題を引き起こす物質を排気する可能性がある。
どうしても購入する際に迷ってしまうのであれば、エンジンの排気量と車体の重量に燃費は大きく依存するため、必要最低限の排気量と車両スペースが確保されている自動車について購入することを、私はお勧めする。