クローズアップテーマ
ESTの創発に向けて、セミナーが開催されます
2008年07月03日 熊井 大
長期的な視点で運輸部門の地球温暖化防止を考えた場合、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成18年12月推計)表1.出生中位(死亡中位)推計にあるとおり、現時点に比べて2050年の国内人口が3割程度減少することから、温室効果ガスの半減は厳しいが、ある程度は削減が進むと考えられます。(運輸部門の排出量は人口に大きく影響を受けるため。実際に人口減少が進んでいる近年においては、運輸部門の排出量は減少しつつある)
運輸部門の排出量が減少しているなかで、増加・横ばい傾向にある自家用自動車については現状打つ手がない状況であり、電気自動車やプラグインハイブリッド車の実用化、燃料電池自動車の開発による自動車単体の改善が有力と考えられますが、本来的には、長期的な視点で交通まちづくりからこの問題を考える、EST(環境的に持続可能な交通:Environmentally Sustainable Transport)のような取組みを活性化させていかなくてはならないと考えます。
ESTは、1990年代後半にOECD(経済協力開発機構)がこの名称の検討プロジェクトを開始したことをきっかけとして、広く普及した言葉です。地球温暖化防止に対し熱心な欧州を中心に、ESTを目指した交通政策の取り組みが行われているほか、日本国内でもESTモデル事業による27地域の取組みやESTを目指す地域の登録制度などが開始されています。
交通エコロジー・モビリティ財団では、地球温暖化防止などに向けて、地方自治体や交通事業者、一般企業、市民団体の皆さまに、長期的な視野で環境改善を目指した交通対策を始めていただくことを期待し、EST創発セミナー(http://www.estfukyu.jp/sohatsu.html)を今年度も全国4ヶ所(広島、沖縄、北九州、仙台)で開催する予定です。私も事務局の一員として、一人でも多くご参加いただけることを期待しています。