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温暖化対策「福田ビジョン」と排出権取引制度

2008年06月05日 三木優


 6/4の日経新聞の1面には「温暖化対策『福田ビジョン』、排出量取引を明記、鉄鋼・電力、条件付き容認」と大きな見出しで、排出権取引制度の導入に向けて福田首相が意欲を示している事が掲載されました。

 官邸・経済産業省・環境省がバラバラに検討している排出権取引制度が、日本にどのような形で導入されるのかは分かりませんが、福田ビジョンに盛り込まれる事により、いつかは導入される事が明確になったと言えます。

 しかし、これまでも繰り返し「研究員のココロ」等のコラムで触れてきたように、排出権取引制度を導入すれば、魔法のように温室効果ガス排出量が減るのではなく、排出権取引制度はあくまで、温室効果ガス排出削減目標があり、それを達成するための手段の一つです。つまり、高い目標が設定された場合に、現在の経団連・自主行動計画では、その目標が達成出来ないから、排出権取引制度を導入するであるとか、高い目標を電力会社や重工業に割り振るための手法として導入するなど、「目的と手段」の内、「目的=削減目標」が示されないまま、手段だけが決められようとしています。

 民主党が参議院に提出した「地球温暖化対策基本法案」では、2020年までに1990年比で温室効果ガス排出量を25%削減する目標が示されるなど、世界的な議論においても中期の目標としては、20~30%がターゲットになりつつあります。地球温暖化については、常に結論を先送りしてきた日本ですが、中期の削減目標については、米国等の他国の動向を待つことなく、国内企業および世界へメッセージを発信する意味も含めて早急に決めるべきです。
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