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長期目標とバックキャスティング

2008年05月28日 青山光彦


 5月24日から26日にかけて、神戸市で主要八カ国(G8)環境省会合が開催され、地球温暖化問題が主要議題として取り上げられました。ここでの論点は、2013年以降の温室効果ガス削減の国際的な枠組みについてであり、会合の結果として、議長総括の1つに「2050年までに世界の排出量を半減させる長期目標を、洞爺湖サミットで合意するよう強い意思を表明」とありました。
 こうした世界的な動きに加え、国家レベルでも温室効果ガス削減の長期目標が掲げられていますが、もう少し身近な視点で、地方自治体レベルで見てみるとどのような動きがあるのでしょうか。

 地方自治体においても、「Think globally, Act Locally」の精神のもと、長期的視点にたって地球温暖化対策に積極的に取り組んでいるところが近年いくつか見られます。

・千代田区(東京都)は2007年の千代田区地球温暖化対策条例の中で、2020年に1990年比CO2を▲25%として中期目標を設定
・豊中市(大阪府)は2007年の豊中市地球温暖化防止地域計画の中で、2020年に1人あたり温室効果ガス排出量を1990年比▲20%、2030年に▲40%、2050年に▲70%として削減目標を設定
・滋賀県では、2008年の持続可能な滋賀社会ビジョンの中で、2030年に1990年比温室効果ガス排出量を▲50%として削減目標を設定
・広島市(広島県)は、検討を進めている広島市脱温暖化実現計画(仮称)骨子の中で、2030年度に温室効果ガス排出量を1990年比▲50%、2050年に▲70%としての削減目標を検討

 こうした長期にわたる目標設定を行うことは、地方自治体にとっては対外的なコミットメントによる実施強制力が働くとともに、環境先進都市としてのイメージアップにつながります。
 一方で、実施運営面では長期計画の実施主体の担保が困難であり、行政内部の職員の異動等による内部モチベーションの低下などが懸念されます。こうしたことの解決のためには、地域協議会等の官民協働型運営組織の立上げによる実行型プロジェクトの実施が求められます。
 また、目標期間が長期にわたるため、今後、天災・自然災害や大幅な技術革新等予想できない事象が起きた際への対応が必要となり、マイルストーンとしての中間目標と定期モニタリングによる継続的な目標及び計画見直しが必要となります。
 さらに、実際に目標達成のために取り組んだプロジェクトの費用対効果の評価をもとに、PDCAサイクル(マネジメントサイクル)をいかに実効的に運用するか、という点も課題です。

 将来のあるべき姿(ビジョン)をたて、それを実現されるために施策を講じるというバックキャスティング思考は、自治体の行政評価システムとも性格はなじむものです。地方自治体は、温暖化対策分野においても積極的に、大胆かつ野心的な目標を立案し、それを実現するための目的・手段体系に基づく施策の継続的に実施することが求められています。ただし、長期にわたる計画の場合、上記のような様々なリスクもありますので、そうしたリスクをうまくコントロールすることが肝要といえます。
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