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今月、京都議定書目標達成計画が見直されます

2008年03月04日 熊井 大


 多くのメディアで報道されていますが、今月、京都議定書目標達成計画が見直されます。

 まず、「なぜこの計画を策定しなければならないか知っていますか?」と一般の方にお伺いした時に、正確に回答できる方は少ないのですが、根拠は以下のとおりです。

・京都議定書の第十条(b)に「気候変動を緩和するための措置及び気候変動への適応を容易にするための措置を含む自国の(適当な場合には地域の)計画を作成し、実施し、公表し及び定期的に更新すること。」と定められているため
・また、京都議定書の担保法である地球温暖化対策の推進に関する法律の第八条に「政府は、京都議定書第三条の規定に基づく約束を履行するために必要な目標の達成に関する計画(以下「京都議定書目標達成計画」という。)を定めなければならない。」と定められているため

 上記を読むと、よく「政府が定める計画と書かれているので、企業や国民には関係ないのではないか」と仰る方がいらっしゃいますが、「いえいえ、違います」。京都議定書目標達成計画の第1章 第2節(地球温暖化対策の基本的考え方)に「世界をリードする環境立国を目指し、技術革新の促進を図るとともに、国、地方公共団体、事業者、国民の参加と連携を図り、そのための透明性の確保、情報の共有を図る。」と書かれており、要は「国をあげて、皆でがんばりましょう」ということになっているのです。

 「じゃあ、なんでこのタイミングに見直すの?」という質問ですが、答えは「2008年度から日本も京都議定書の約束期間に入るから」です。つまり、4月から約束期間に入るため、その達成を確実にするため、3月に見直し(閣議決定)をするのです。日本以外の国は、2008年から約束期間に入っているので、既に計画を最終確定している国がほとんどです。日本はどうしても年度主義なので、国連に確認した上で、年度で約束期間を開始します。

 「不思議に思うんですけど、今の京都議定書目標達成計画には、平成17年4月28日閣議決定、平成18年7月11日一部変更と書かれているのですが?」という質問は、非常に鋭い質問です。本来は、平成17年に今の計画を策定する際「3月中に閣議決定を行う」べきだったのですが、はじめて計画を策定するということもあり、審議会等々の関係から年度内に閣議決定できなかったという裏話があります。また、策定後、京都メカニズム関係でいろいろと不都合が生じ、平成18年に一部修正をほどこしています。

 京都議定書目標達成計画の全文を読んでいる一般の方は、恐らくほとんどいないのでしょうが、このあたりのうんちく(雑学?)を知って、多少なりともご興味を持っていただければ幸いです。
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