コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

Sohatsu Eyes

まずは二つの車輪から

2009年05月12日 宮内洋宜


今年に入ってから、本田技研工業のインサイトの発売、トヨタ自動車のプリウスのモデルチェンジと、ハイブリッド車の市場が大きく動きはじめています。さらに、この夏には三菱自動車などから電気自動車の市場投入が予定されています。今、自動車の世界では環境負荷の低い低公害車、特に電気で推進する車両が注目を集めていると言えます。

その影に隠れてしまっていますが、二輪車の世界にも電動化の波が訪れています。もっとも身近なものは、電動アシスト自転車でしょう。財団法人自転車産業振興協会の統計によると、国内における自転車販売に対するシェアは年々上昇しており、平成20年度には5.2%、約20台に1台が電動アシスト自転車となっています。販売台数は年間30万台を突破し、排気量50cc以下の第一種原動機付自転車、いわゆる「原付バイク」の販売台数を上回ったという統計もあります。確かに街中でもよく見かけるようになってきました。ラインナップも充実し、価格も徐々に下がっています。法律の改正でアシストの割合が増えたことも追い風となり、今後ますます普及して行くことでしょう。さらに電動化が進み、電気だけで走る二輪車も当然存在します。現在は輸入車がほとんどですが、ヤマハ発動機や本田技研工業などが発売を表明していることから、近い将来街中を走る電動バイクを目にすることが多くなるかもしれません。少し変わったところでは、セグウェイも電動二輪車と言えます。残念ながら日本では公道の走行はできませんが、独特のスタイルが注目を集めました。

電動アシスト自転車は、発進のときや坂道を登るときにペダルが軽いという利便性が評価され販売台数を伸ばしてきました。セグウェイはそのスタイルが近未来を感じさせるところに付加価値があります。電動バイクは環境への影響が低く、ランニングコストも安いという素晴らしい特徴を持っています。初期コストも電気自動車ほど高くなく、環境志向の消費者へ訴求することができれば普及の可能性は高いと言えます。

電気自動車の最大の弱点は航続距離が短いことです。ですが、個人による日常のちょっとした移動手段であれば、長い航続距離は必要ありません。ごく近距離を移動する用途に関して電動化が進むのは自然な流れといえるため、個人向けの電動車両には、たくさんのビジネスチャンスが含まれているように思います。特に、電動二輪車は自転車や原付バイクからの乗り換え需要や、これまで自動車や徒歩で移動していた個人の需要を幅広く取り込むことができます。電気自動車普及の前に、まずは二つの車輪に注目してみてはいかがでしょうか。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ