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Sohatsu Eyes

日本の環境技術の現地に踏み込んだ展開を期待

2009年03月17日 安納剛志


環境省は昨年6月に「クリーンアジア・イニシアティブ」という、日本の環境技術をアジア経済・環境共同体の軸として同地域に展開していく構想を掲げました。これは平成15年に発表された「3Rイニシアティブ」の取り組みに続く構想で、アジア地域の環境規制の強化や製品規格への対応を通じて、日本の環境技術を同地域へ展開させる狙いがあります。

期待される環境技術ですが、実際には中国や東南アジア等への展開は必ずしも万全とは言えない状況にあります。そもそも新興国では環境に関する法制度がまだ整備されておらず、環境機器を導入するインセンティブが働かないということがあります。また、規制が進み始めた中国等においても、技術特許の無断使用等の問題で撤退を余儀なくされている日本企業もあります。

今後、日本の環境技術をアジアに展開していくにあたって、当該国の規制強化等の外的要因のみに頼ると、他の欧米企業との競争が激化することが予想されます。求められるのは、日本人をターゲットとして日本で開発された技術を、現地の人間が利用する視点で再度技術をし直す視点ではないかと考えます。欧米企業よりも地理的に近接しているというメリットを生かして、現地の技術系企業等の合弁会社設立等を通じて、現地に踏み込んだ積極的な展開が有効と思われます。

当社では、現地で技術製品を製作する際のリスク分析を実施する支援を行っています。日本では低リスクと考えられていた資材の調達ひとつを取って見ても、現地では想定しないリスクが潜んでいる可能性があります。技術リスク分析の手法を用いて、潜在するリスクを洗い出し、その対策を提案するコンサルティングを行うことで、東アジア地域での環境技術展開を考えている企業を対象に現地における企業との連携や製造を行う際の支援ができればと考えています。

写真:北京と天津を結ぶ新幹線、「和諧号」。日本からの技術供与で実現しました。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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