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Sohatsu Eyes

ごみ処理事業の変革

2008年09月17日 田中義朗



廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)は、1970年(昭和45年)のいわゆる公害国会において他の公害関係法令と共に成立し、それ以降、日本のごみ処理事業は「生活環境と公衆衛生の向上」を主目的として、衛生処理・減容化が可能な焼却処理を中心としたごみ処理体系を推進してきました。
今日では、全国で排出されるごみの焼却処理率は7割を超え、焼却施設も1,200施設にのぼっています。

しかし、焼却処理ありきのごみ処理事業のあり方は、見直され、変革されるべき時期に来ていると考えます。
上述のとおり、これまでは生活環境・公衆衛生向上に向けた処理施設としての役割から焼却施設が選択されてきましたが、石油や金属等の幅広い資源の確保の難しさが現実化した現社会情勢においては、例えば有機性廃棄物は焼却せずに発酵させてバイオガスを積極的に回収する等、ごみからエネルギー・資源を回収する機能への要請が高まります。
また、容器包装廃棄物等の資源化によってマテリアルリサイクルが推進されてきましたが、焼却対象ごみからプラスチック類、紙類といった高カロリーのごみが物質回収された結果、生ごみ等の水分の多いごみが大きな割合を占めるに至り、焼却のために重油等の助燃剤を投じなければならない状況となっています。ごみ処理事業をトータルで見た場合に、環境負荷の観点からも焼却施設が最適解であるとはいえなくなってきているのです。

このような中、香川県三豊市では、従前の焼却処理ありきではなく、バイオガス化技術、RPF化技術、炭化技術等の幅広い技術を対象として、次世代のごみ処理事業のあり方に関する検討が開始されています。
この取り組みでは、これまでにない課題に直面することもあるかと考えられます。しかし、焼却処理を中心に推進されてきた我が国のごみ処理事業を変革し、安定性、環境性、経済性等様々な価値を融合するごみ処理システムの構築に向けての新たな挑戦になるものと確信しています。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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