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Sohatsu Eyes

水道ビジョンと経営

2008年05月13日 石田直美



厚生労働省が、今後の水道に関する重点的な政策課題とその課題に対処するための具体的な施策及びその方策、工程等を包括的に示すものとして「水道ビジョン」を平成16年6月に策定してからまもなく4年を迎える。水道事業者等に対しては、自らの事業の現状と将来見通しを分析・評価した上で、目指すべき将来像を描き、その実現のための方策等を示すものとして「地域水道ビジョン」の作成・公表が推奨されており、上水道事業では既に半数以上の事業者が公表している。地域水道ビジョンの策定に対する国の支援がない中で、水道事業体に浸透してきているとも見ることができる。

一方、その内容を見ると、技術的な内容に偏り経営面での今後の方向性に関する検討が必ずしも十分でない例も見られる。例えば、水道サービスを充実していく施策が列挙されているものの、具体的な投資計画や財政運営の姿が曖昧、といったものである。地域水道ビジョンの内容は事業体により異なっていて当然であるが、将来像と実現方策を示すには、技術面でどのような水道事業を目指し、その裏づけとなる経営をどのような方針で行っていくのか、整合する形で提示する必要がある。

現在の水道事業が抱える重要な課題の一つは、人口減少や環境意識の高まり等により水需要が増えない中で、老朽化した水道施設の更新や耐震化等の莫大な投資を行わなければならないことにある。限られた経営資源をどこに重点的に振り向けるか、投資が十分できない部分についてどのような次善の策をとるのか、経営の観点から十分に検討し、提示することが期待され、水道ビジョンは、まさにこのような観点から策定することが必要である。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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