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社会貢献活動における効果検証の重要性

2008年04月08日 小崎亜依子



CSRには、環境問題への対応、人材への配慮等、様々な分野があります。今回は、そのうちの社会貢献を取り上げ、その効果検証の重要性を考えたいと思います。

日本経団連の「2006年度社会貢献活動実績調査結果」(1991年度より毎年実施)(*1)によれば、2006年度の1社平均の社会貢献活動支出額は1991年度のバブル期に次ぐ過去2番目に高い額となりました。社会貢献活動支出額が高額となったのは、企業の経常利益額が過去最高となったからでしょうか。そういった面も否定できませんが、経常利益に占める社会貢献活動費の割合も増えてきていることから、企業の社会貢献への関心度が高まってきたことも支出額増の要因の1つである、と言うことができます。

社会貢献活動への関心が高まり、支出額が増加したにもかかわらず、活動の効果検証はあまり行われていません。我々が毎年実施している「CSR経営動向調査」(*2)によると、社会貢献活動の効果検証について、活動の効果を検証し次期の活動に反映させているとする企業は、検証結果を公表するとしている企業も含めて、全体で40.2%という結果となりました。半数以上の企業が、社会貢献活動の効果検証を行っていないのです。

活動の効果検証は、企業を取り巻くステークホルダーの理解を得るためにも、今後重要になってくると考えられます。例えば、「社会貢献活動は企業にどういった価値をもたらしているのか説明して欲しい」といった声が、株主総会で聞かれる日が来るかもしれません。その場合には、活動の意義だけでなくその効果の説明が当然求められるでしょう。実際、アメリカなどでは企業の社会貢献が株主総会の話題になることがあります。また、「自分達の給料が上がらない中、社会貢献活動費用が増えているのはどういうことだ」といった声が、従業員から上がる可能性もあります。その場合にも同じような説明が求められるでしょう。

よって、多くのステークホルダーの理解を得られる社会貢献活動を行うためには、その効果検証は必須であると思います。社会貢献活動の分野は、学術・研究、教育・社会教育、環境、地域社会の活動等、多岐にわたり、何らかのインパクトを与えるためには、継続的な活動が必要です。ステークホルダーの理解を得ることで、社会貢献活動を継続的に行うことが可能になるのではないでしょうか。

(*1) 日本経団連 2006年度社会貢献活動実績調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/102/

(*2) CSRアーカイブス CSR経営動向調査
http://www.csrjapan.jp/research/trend/

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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