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合同会社バイオガス・ネット・ジャパン設立

2008年02月19日 赤石和幸


先月16日にバイオガスの製造・精製・流通の実用化を推進する「合同会社バイオガス・ネット・ジャパン」を11社共同にて設立しました。日本総研では、2005年度から「バイオガス・ネットワーク・コンソーシアム」を設立し、下水汚泥、食品廃棄物、産業廃棄物、畜産廃棄物などを活用したバイオガスの流通ビジネスモデルの研究を続けてきました。その結果、バイオガスを精製して一般的なガス消費機器でも利用可能な都市ガスや天然ガス相当の精製バイオガスにする技術や、発生源から離れた都市部の需要家が利用するために、精製バイオガスを圧縮容器などに充填し運搬する技術などの開発に成功しています。

バイオガスは、バイオエタノールと同様に化石燃料を燃やさないカーボンニュートラルの燃料とされます。バイオエタノールと異なり、食料であるサトウキビやトウモロコシ等を原料とせず、生ごみや下水汚泥といったものが原料であるため、食料との競合になりません。バイオガスを発生させるメタン発酵は、古くから技術が確立されており、エタノールを作るエネルギーの1/4にてエネルギーが回収できることから、ドイツやスウェーデンといったバイオ燃料先進国では化石燃料代替燃料としてバイオエタノール以上に普及が進んでいます。下水処理場などから発生するメタンガスは、二酸化炭素の21倍もの温暖化効果を持ちます。大気放出されるメタンガスを回収し、化石燃料の代替として利用できれば、一石二鳥の温暖化防止効果が見込めるのです。

バイオガスには、メタンガスのほか硫化水素などの不純物が多く含まれており、燃焼処理などでしか利用されていませんでした。合同会社バイオガス・ネット・ジャパンの出資企業の一社である株式会社吸着技術工業は、バイオガスから純度95%以上のメタンガスを分離精製する技術を有しています。すでに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や環境省の支援の下、鹿児島県垂水地域や北海道恵庭地域で行った長期の実証事業で事業性を確認しています。2008年度から東京都内にて50台以上の自動車への供給を開始し、さらにフィージビリティ調査を実施している北海道、関東、九州地域にて順次バイオガスのネットワークを構築する計画です。

バイオガスを地産地消型のエネルギー事業として、また地域活性化の切り札として期待する自治体も多く、これまでに築いた全国の自治体とのパートナーシップを活かし、スピーディーな事業展開を行う予定です。
合同会社バイオガス・ネット・ジャパンはガス会社や輸送会社などと提携を進めながらバイオガスを全国に普及させ、環境対策とわが国の再生可能エネルギーを推進していきます。
今後の活動にご期待ください。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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