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Sohatsu Eyes

リサイクルから資源創出へ

2008年01月08日 木通 秀樹



最近、リサイクルという言葉の意味合いが変わってきました。従来のリサイクルという言葉には、「資源の有効利用」というよりも「もったいない」という言葉に繋がるような無駄、贅沢に対する否定的・消極的な意味合いが強かったように思います。

ここ数年、地下資源から地上資源への転換が進んできています。木くずや金属くずなどの廃棄物が資源として奪い合われているのは、この代表的な例といえます。資源争奪の対象は範囲を拡大し、金属くずなどのピュアな廃棄物のみならず、機械製品などの混合廃棄物もその対象となっています。本来、物のライフサイクルの最下流に位置していたものが、資源として価値を持てば、上流も下流もなくなります。その結果、リサイクルの実態は、消極的なものから資源創出という、より積極的なものに変わってきています。

現在、自動車の金属部品のリサイクルを世界50カ国以上とネットワーク化するプロジェクトに携わっています。ここでは、そのままでも価値のあるものはリユースされ、付加価値の低いものは資源として流通することで資源創出が行われます。資源創出は日本国内だけではなかなか進みません。日本では、まだまだいわゆる上流志向が強く、資源を汲み取るような下流の文化が根付いていないからだと考えます。このため、日本における資源創出には海外とのネットワーク化が重要になってきています。

また、バイオマス由来のガス燃料の活動にも携わっていますが、こちらも、海外に活動領域を広げることで、資源創出が飛躍的に拡大する可能性があります。バイオマスは金属部品に比べてライフサイクルが短いためにエリアは制限されますが、資源が豊富なため、この点在する資源をネットワーク化することで利用価値が高まります。関係者の方々と会合を重ねるたびに、この分野の可能性と期待が大きいことがひしひしと伝わってきます。

ただし、現在、資源創出を行うためグローバルな視点からネットワーク化を推進している企業は少なく、この分野はまだまだ未開拓と言えます。今後、多くの企業が積極的に対応することにより、市場を拡大していくことが期待されます。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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