Sohatsu Eyes
中国の再生可能エネルギー市場と投資競争
2007年11月06日 王 婷
2005年12月、中国の太陽光企業のサンテック・パワーがニューヨーク株式市場に上場し、初日に株価が41%上昇したことが、同じ業界の人々に大きな衝撃を与えました。その後、2006年に入ってから中国の太陽光関連企業が相次ぎ海外で上場し、2007年半ばまでに10社が上場を果たし、総市場価値が180億ドルに達しました。発展改革委員会のエネルギー研究所の予測によると、今後数年間約20数社の再生可能エネルギー企業が世界の株式市場に上場することになるといいます。
中国再生可能エネルギー市場も大きく動いています。2006年1月「再生可能エネルギー法」が施行され、2007年8月に「再生可能エネルギー中長期規画」が公表されました。中国政府は、エネルギー資源の不足や地球温暖化への対応のため、再生可能エネルギーを積極的に推進する政策を採っています。2020年までに再生可能エネルギーの一次エネルギーに占める割合の目標を15%としています。現在、再生可能エネルギーの設備容量はドイツを抜いて世界一位、風力発電の容量は8位、バイオエタノールの生産量は、ブラジル、米国、ドイツに次ぐ4位です。今後、中国は再生可能エネルギー消費量が世界一の国になると言われています。
一方、国連の統計数値によれば、2006年全世界の再生可能エネルギーへの投資は710億ドルで、うち、中国の投資が9%を占めます。米国エネルギー基金と中国国家発展改革委員会の予測では今後、中国のエネルギー分野に必要な投資が18万億元(2.4万億ドル)ですが、そのうち、再生可能エネルギー・省エネ・環境保全の分野においては、7万億元(1万億ドル)の投資が必要とのことです。
Actis(英系投資会社)はサンテックを発掘し上場を成功させたことで大きな名声を獲得しました。第2、第3のサンテックを発掘するため、GS、モルガン、JAFCOなど代表的な投資銀行やVCファンドが中国の再生可能エネルギー関連企業の中で奔走しています。また、BPやシーメンスのような事業会社も、再生可能エネルギー分野で新たな事業を開拓するため、関連企業への投資を積極的に行っています。
中国では、再生可能エネルギー分野への投資が始まったばかりですが、しばらくはこの熱気が続くものと思われます。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。