Sohatsu Eyes
ドラスティックに動く中国の環境政策
2007年10月10日 荒生元
先月4日に、中国政府は風力発電や太陽光発電などの利用拡大を目指して「再生可能エネルギー中長期発展計画」を発表しました。この計画では、中国全体のエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を、2010年までに10%、2020年までには15%に引き上げるという目標を掲げています。中国の現在の再生可能エネルギーの割合が8%程度に対して、日本ではわずか2%弱、2010年の目標(今後追加的に政策を実施した場合)でも3%程度ですので、この数値がいかに高いものかお分かりになると思います。
その一方で、2006年から5年間の国家計画(第11次5ヵ年規画)で2010年までにGDP当たりのエネルギー消費量を20%、汚染物質の排出量を10%削減するという目標を掲げています。この目標を達成するため、中国政府は、矢継ぎ早に且つドラスティックに政策を実行しています。2006年には電力の優遇買取などを定めた「再生可能エネルギー法」を施行し、義務規定や罰則規定を盛り込むための「省エネルギー法」の改正作業にも着手しました。その他にも、汚染物質を大量に排出する工場を廃止したり、エネルギー効率の低い工場を淘汰するために電気料金を引き上げるといった少し強引な政策も実施されています。
その結果か、中国の全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合は昨年度だけで0.5%増加しています。また、風力発電の導入は、日本の10倍という高い目標にもかかわらず、政府の想定をはるかに超えて進展していると言われています。このような多少強引な政策に対しては賛否両論あると思いますが、政府が明確な姿勢を示すことによって国内外から投資が集まり、成果が着実に挙がっているのは事実です。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。