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Sohatsu Eyes

自治体の発注改革

2007年08月07日 石田直美



自治体の公共工事の発注は、相次ぐ談合事件の表面化により、従来以上に透明化が求められています。全国知事会は昨年末に「談合根絶宣言」を公表、原則として1000万円以上の公共工事を一般競争入札にすることや、地元業者に限定して入札を行う場合でも参加者を20~30社以上とすること、電子入札を3年以内に全面的に導入すること等を示しました。
中央建設業審議会でも、自治体の公共工事のあり方について様々の角度から見直しています。今年3月の中間とりまとめでは、「新たな競争時代に対応した地方公共団体の入札契約制度改革支援方策」として以下の4つの施策を提示しています。
(1) 発注者の能力と工事の態様に応じた多様な調達手段の活用方策
 (設計施工一括発注方式等契約方式の多様化や、CM/PMによる発注者支援の試行等)
(2) 建設業者の特性等に応じた適切な市場の設定(入札参加条件の設定等)
(3) 総合評価方式の拡充等(総合評価実施マニュアルの作成・活用等)
(4) 低入札対応

この中で注目したいのは、(1)のCM/PM方式の試行です。CMはConstruction Management、PMはProject Managementの略で、技術的な中立性を保ちつつ、発注者の側に立って、事業の企画・設計・積算・工事の各段階における各種マネジメント業務の全部又は一部を行うサービスを意味します。アメリカや民間建築工事では比較的普及している方式で、発注者の技術力の量的・質的補完や、コストの削減、コスト構造の透明化等のメリットが期待されます。
日本でも、団塊世代の大量退職により、自治体の人材不足はますます深刻化します。発注者の脆弱な体制を補う方法の一つとして、CMやPMは有効といえるでしょう。しかし、CMやPMをどのように活用したらよいか、事務手続きや能力あるCM・PMの担い手の育成、選定や契約等、実務的な課題が多く、普及していないのが実情です。国土交通省は、CM等の方式の普及を目指してモデルプロジェクトを募集していますが、こうした取り組みが自治体の発注改革の一助となるよう、期待しています。

参考URL:
「CM(コンストラクション・マネジメント)方式モデルプロジェクトの募集について」(国土交通省)
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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