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Sohatsu Eyes

新エネルギーベンチャー技術革新事業

2007年06月26日 荒井直樹


5月31日より、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は平成19年度「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の公募を開始しました。本事業は、平成18年度に定められた新国家エネルギー戦略における新エネルギーイノベーション計画に基づき実施されるものであり、太陽光発電、バイオマス、燃料電池・蓄電池、風力発電その他未利用エネルギーの技術分野において、ベンチャー企業による技術開発を支援する事業です。本事業にはいくつかの特徴があります。一つ目は、技術開発の事業化までのステップによって、フィージビリティ・スタディフェーズ、技術開発フェーズに分け、技術や企業の絞り込みを行うこと。二つ目は、事業化を促進し将来IPOなどを目指すために、ベンチャーキャピタルとのマッチングや、経営コンサルタントなどからアドバイスなどの支援を行うこと、が挙げられます。

実は、本事業は、新エネルギー版SBIR制度というべきものであり、米国発祥のSBIR制度を元にしています。SBIR制度(Small Business Innovation Research)は、ベンチャー企業の技術開発を支援する制度であり、DOD(米国防衛省)、NASA(米国航空宇宙局)、DOE(米国エネルギー省)など様々な省庁が参加しています。様々な分野において、ベンチャー企業の技術開発が進展することで、イノベーションの創出、産業の活性化を実現しているといわれています。一部の調査では、SBIR制度により投じられた金額より、企業が成長したことによるリターン(税金など)のほうが大きいという結果も得られており、その効果の大きさが伺えます。また、SBIR制度を受け、上場や買収により大成功を収めている企業が多数創出されている(例えば、Fuel Cell Energy社(燃料電池)はNASDAQ上場、Powerlight社(太陽光発電)はSunpower社による買収により成長を加速)ことから、SBIR制度を受けたベンチャー企業は外部からの投資を受けやすい、ともいわれており、ベンチャー企業にとってもメリットがあります。

それでは、本年度からスタートする新エネルギーベンチャー技術革新事業はどうでしょうか。効果は期待できるのでしょうか。私は大いに期待できると考えています。日本には、素晴らしい技術が多く存在するにもかかわらず、まだまだベンチャー企業、投資が少ないのが現状です。大学や大企業からのスピンアウトも少なく、眠ったままの技術もあるでしょう。一方で、地球温暖化を代表とするグローバルな問題は、新しい技術による解決策を必要としており、このような制度により新しいイノベーションが起きることが期待されます。もしかすると本事業は、日本にとって、世界にとって、明るい未来を実現する重要な制度になるかもしれません。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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