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Sohatsu Eyes

資源を生み出す

2007年04月24日 赤石和幸



アル・ゴアの『不都合な真実』を観られた方は多いと思います。地球温暖化にフォーカスされていますが、重要なメッセージは温暖化して南極の氷河が溶け出し、南太平洋の島国ツバルが海に沈むといった現象ではなく、人口増加によって地球温暖化が後には戻れない不可逆点に近づいているという事実だと言われています。

ある無人島でウサギを放った時の例え話があります。ウサギは外敵がいないため、豊富にある草を食べ繁殖し、その島での繁栄を迎えます。ウサギは1匹が4匹を生み、4匹が16匹といった“べき乗”にて増殖します。一方で、草(資源)は一定のサイクル(線形)でしか増えません。ある時点(不可逆点)を境に、べき乗の消費スピードが線形の生産スピードを追い越します。ウサギの繁殖スピードは直ぐには止められません。ウサギは、資源を取り合い、最後の1草まで食べ尽くし、ウサギの文明が終焉を迎えるといったものです。

ウサギの例は極端ですが、地球温暖化でも、資源問題でも同じく、人類が後戻りできない時を迎えつつあります。地球温度化はあと2度温度が上昇すると不可逆になると言われています。オイルピークは2010年と言われています。オイルピークの話で言うと、市場に出回る原油量の推移を示した“ハバード曲線”というものがあります。オイルピークを過ぎて直ぐに原油がなくなるというものではありません。段々、採掘し易く大量にある油田から、密度が低く、採掘しづらい、アクセスが悪い油田にシフトする。資源の取り合いが起こり、価格は跳ね上がり、結果として市場に出回る量が乗数で減るというものです。このようなことが10年以内に現実化するとも言われています。

文明が長らえるためには少しでも資源の枯渇を防がねばなりません。資源を使うのではなく、資源の消費量を減らす、もしくは資源を生み出すことに力が注がれる必要があります。これまでの産業活動では、『(1)資源→モノ→廃棄』というプロセスが経済の中心でした。人類が生命を維持するためには、『(2)廃棄→資源』といった静脈の流れを起こし、少しでも資源の消耗を減らすことが大切です。我々が取り組んでいるバイオガスの供給事業の目的もここにあると考えています。廃棄されるものから資源を生み出す、資源として適正に循環させる、そんな仕組みを作りたいと思っています。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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