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Sohatsu Eyes

アイデアにまぶすスパイス

2007年03月27日 西村 慶太



これは画期的だ!
そんなビジネスアイデアを思いついた時、みなさんならどうされるでしょうか。

ビジネスを木に例えるならば、アイデアは種の段階です。これを発芽(企画化)させ、木へと成長(事業化)させていくには社内外のパートナー、顧客の存在が不可欠です。
ただ、生き馬の目を抜くビジネスの世界です。残念ながらこうした主体となることを期待して情報を開示した相手にアイデアを盗用されてしまうリスクは織込み、対策を立てておきたいものです。

その手段として、特許や実用新案の制度があります。しかし、こうした権利を得るためには、相当な労力と時間、お金も必要です。また、特許性が認められないケースもありますし、実用新案の権利を行使するには改めて技術評価が必要で、必ずしも意に沿う結果が得られるとは限らないと聞いています。著作権を思い浮かべられた方もいるかもしれませんが、著作権は表現を保護するもので、アイデアの模倣を防ぐことはできません。
また、特許や実用新案は公開を前提としているため、業種業態によっては権利の及ばない海外での不正利用などを恐れて出願を躊躇う企業も出てきているようです

質問を一つ追加してみましょう。世間に広く知らしめたいという論や著作物があるとします。みなさんならどうされるでしょうか。

ITがこれだけ普及した世の中です。デジタル情報のコピーコストは著しく低下しており、良い情報は(悪い情報もですが)、そのインパクトが強ければ強い程、燎原の火の如く広がっていきます。作為的に、あるいは伝言ゲームの様に不作為的にも、情報が真意とは別の形に捻じ曲げられてしまう恐れがあります。

上記2つの課題に対する解決策として、私が注目し、利用しているのがタイムスタンプサービスです。これは●年■月▲日◎時◇分☆秒に、あるデジタルファイルが存在していたこと、その後に変更が加えられていないことを証明するサービスです。日本では現在、総務省が管轄する財団法人 日本データ通信協会が認可した6社がサービスを提供しています。

タイムスタンプはe-文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)の下、国税関係書類や医療情報(診療記録、レセプト情報など)にも利用されています。
ビジネスアイデアの開示前に取得しておけば、トラブルになった際、タイムスタンプの時刻にデジタルファイルが存在していたことを証明する法的証拠能力を期待できます。また、秘密保持契約(NDA)の締結前に保有していた情報の証明や、法的権利との関係では先使用権の主張を支持する一定の効力を発揮するのではないでしょうか。但し、タイムスタンプはある時点でそのファイルが存在していたことを証明するだけで、特許や実用新案のようにオリジナリティに対する排他的な権利を保証してくれるものではないことに注意する必要があります。

2問目に対して、私の考えるタイムスタンプ利用による解決策は、改竄の防止です。
上述の様な状況下では自ら発信した情報のオリジナリティを裏付けることは至難の業でしたが、情報の頒布前のタイムスタンプ取得はこうした悩みに対する切り札になり得ると考えています。

この様にタイムスタンプはどんなアイデア、著作物にも合う万能のスパイスであると考えています。
私の知る限りでは「10円/個×1000個単位」程度で利用が可能です。興味を持たれた方は試されてみてはいかがでしょうか。

*タイムスタンプサービス 入門講座第1~5回(株式会社PFU)
http://www.pfu.fujitsu.com/tsa/news/st-1.html
http://www.pfu.fujitsu.com/tsa/news/st-2.html
http://www.pfu.fujitsu.com/tsa/news/st-3.html
http://www.pfu.fujitsu.com/tsa/news/st-4.html
http://www.pfu.fujitsu.com/tsa/news/st-5.html

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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