Sohatsu Eyes
CO2削減も考慮する3Rシステムの構築
2007年02月27日 木通 秀樹
昨今、地球温暖化への危機感が改めて高まっています。この傾向は歓迎すべきことですが、その対策が省エネなどに偏重しているようにも思われます。CO2の排出を抑制するためには、我々の生活の中では、エネルギーを使わないだけでなく、無駄な資源を使わないことも重要なポイントとなります。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の実施は、地球温暖化にも効果があるのです。
例えば、冷房や暖房の温度を2度控えめに設定することは、マイバッグを使ってレジ袋など無駄な包装を使わないのとほぼ同じCO2の削減効果があるとされています。日本全国で実行された場合の削減効果は年間約280万トンになり、京都議定書で定められた削減目標量の5%程度に相当します。これは、リデュースの効果です。
また、リユースの例として、自動車の中古部品があります。中古エンジンを整備して利用すれば、1基あたり約1トンのCO2削減効果があります。現在利用されている、エンジン、ドアなど中古部品の削減効果は年間100万トン以上になると推算されます。リサイクルの例として、ペットボトルをペットボトルに戻すケミカルリサイクルがあります。この場合は、年間約130万トンの削減が可能になります。これら3つを合わせるだけでも、削減目標量の1割に達することができるのです。
ところが、3Rを行う場合は、分別の労力と輸送の環境負荷が大きくなるという課題があります。そこで、私どもでは、効率的な分別モニタリングと輸送の改善を実施することができるICタグ等を用いた3Rシステム作りを行っています。病院や建設現場に導入するとともに、自治体の廃棄物収集に対して検討を進めています。本システムを用いれば、排出現場のモニタリングをシステマティックに行い、改善策を排出者にフィードバックすることが可能となります。
CO2の削減のみならず、資源の循環利用を行うためには、排出現場の適切な管理が欠かせません。本システムは、管理を行う仕組みとして、今後の拡大が期待されています。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。