Sohatsu Eyes
わが国企業のCSR経営の動向調査
2007年02月13日 森田 美智子
2003年度から毎年、「わが国企業のCSR経営の動向調査」というアンケート調査を、企業の皆様にお願いしています。毎年、アンケート調査の結果を取りまとめて、ホームページ上(http://www.csrjapan.jp)で公表しています。現在、2006年度のアンケート結果を取りまとめが佳境にはいっています。
昨年度までのアンケートでは、環境への取り組みや、コンプライアンス、顧客対応や働きやすい職場環境といった、「CSRマネジメント」に関わる項目を中心に取り組み内容を伺っていましたが、今回の調査から「事業機会」としての“CSR”をどのように考え実践していらっしゃるかを設問に加えさせていただくことにいたしました。
この設問の切り口が昨年度私たちのグループで設定した「17のサステナビリティテーマ」です(下表)。これらは、「現在、わが国もしくは世界が抱えている社会的な課題」だと、私たちが考えているものです。例えば、「女性の社会進出」を社内の取り組みとして推進していくこともできます。しかし、これらの課題にビジネスとして取り組むことで、社会の問題をより効果的に解決していけることもあるのではないか、それがこれまでの「CSRマネジメント」からさらに進んだCSRの形なのではないかと考えているのです。
これまでの調査で「マネジメント」を中心にアンケートをさせていただいていたため、ビジネスについての設問には戸惑われた企業もかなり多かったように感じます。しかし、社会的な課題に取り組むのだという明確なビジョンを持ってビジネス活動を行っている企業の方々もいらっしゃいました。ある食品メーカーでは、「心の健康の維持・改善」の設問に対して、ストレスを軽減するためのお菓子を製造している、とお答えいただきました。たとえ同じものを製造していたとしても、その位置づけが「社会的な課題を解決できるのではないか」という姿勢を持ち、それをそのように打ち出すかどうかで課題解決への影響の大きさが変わってくるのではないでしょうか。
今回設定した17のサステナビリティテーマは、今後情勢に応じて変わっていくと思います。企業も個人も、自らが「これは社会的な課題ではないか」と考え、それを解決するために活動を行っていくことが、個人や企業、また社会全体にとっての持続的な発展につながっていくのではないでしょうか。
17のサステナビリティテーマ
環境保全の推進 | 食糧確保・食の安全 の確保 | 財政の再建 |
治安・セキュリティ の維持管理 | 心の健康の維持・改善 | 地域コミュニティー の再生 |
少子化問題の克服 | 外国人の暮らしやすい 社会の実現 | 発展途上国の衛生 状態の改善 |
高齢化問題の克服 | 自己啓発・能力開発 の促進 | 人間関係の希薄化 の是正 |
女性の社会進出の促進 | 身体の健康の維持・ 改善 | 若者の意欲喪失から の回復 |
障害を持つ人に とってのバリアフリー 社会の実現 | 自然災害に強い社会 の実現 |
アンケート本文はhttp://www.csrjapan.jp/research/trend/2006sheet.htmlから取得できます。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。