Sohatsu Eyes
動き出す中国の新エネ、省エネ市場
2007年01月16日 王 婷
2006年は、中国の新エネ・省エネの「紀元元年」の年だったといっても過言ではありません。2006年1月に、中国で初めての再生可能エネルギー(水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱、海洋エネルギーなど非化石エネルギーを指す)に関する法律である「再生可能エネルギー法」が施行され、3月には、「2010年までにGDPあたりのエネルギー消費量が2005年比で20%削減」という具体的な省エネの目標数値が打ち出されたからです。
法律や政策とともに、各種の補助制度や奨励制度も出されています。再生可能エネルギー発電の売電価額の優遇制度、石油代替エネルギー技術の開発利用の支援、省エネプロジェクトの支援のための国債発行などです。政府主導の新エネ・省エネ市場作りが活発化していると言えます。
中国市場の魅力というのは、なんといってもスケールの大きさです。再生可能エネルギーの導入目標値をみると歴然としています。風力の導入目標をみると、2010年に500万kW、2020年に3,000万kWです。2010年の日本の導入目標が300万kWであり、中国のほうがはるかに上回っています。因みにバイオマス発電の2010年の導入目標が中国は550万kWに対し、日本では33万kWの目標とその差は大きく開いています。
このように政策的にも、市場的にも整備されつつある中国の新エネ・省エネ市場には、欧米企業がいち早く参入しています。欧米企業は、風力発電の市場では現状ほぼ独占状態であり、またバイオマス発電事業や産業系省エネ事業でも機器売りや技術供与を始めています。
一方日本の、中国における新エネ、省エネビジネスは始まったばかりと言えます。
このスケールの大きな中国の新エネ・省エネ分野は今後の我々の大きなビジネスチャンスなることが期待できます。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。