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Sohatsu Eyes

エネルギーの面的利用

2006年12月19日 荒生元


京都議定書の目標期間を間近に控え、省エネルギーに関する新しい方策が相次いで打ち出されています。その一つがエネルギーの面的利用です。京都議定書の発効により、更なる取り組みが求められていますが、世界で最もエネルギー効率が高いと言われる日本では、施設単位での取り組みだけでは既に限界に近づきつつあります。そこで、複数の施設が協力して、全体で最も効率的な使い方を考えようというのが面的利用です。

分かりやすいのが熱の融通です。例えば、排熱を出している鉄鋼工場から、大量の温水を必要とする製紙工場に熱を送れば、これまで捨てられていた排熱を有効利用して化石燃料の消費を抑えることができます。また、各施設にある設備を廃止して、高効率の大規模設備に集約することによっても省エネが可能ですし、昼間に多くのエネルギーを使うオフィスビルと、夜間に使うホテルを融通相手として組み合わせるのも効果的です。

電気や熱の融通には、「もの」の融通と違い貯めておけないという難しさや、融通のためのインフラ整備の問題などがあります。特に工場では、生産工程を安定的に稼動させることが最優先ですので、隣の工場に迷惑をかけてはいけないという意識もあります。

日本総研では、面的利用を実現するための調査を、現在2ヶ所の工場で行っています。また、「貯めておけない」エネルギーを安定的に、効率的に融通するためのシステムの開発にも3年前から取り組んでいます。実際の工場で調査を始めてみると、一般的に言われている通り、これまでいかにエネルギーの効率的利用に努力してきたかかがよく分かります。面的利用の実現には色々と課題はありますが、日本の省エネに磨きをかけるため、前向きに取り組んでいきたいと考えています。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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