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Sohatsu Eyes

バイオ燃料利用への期待

2006年10月24日 安納剛志



最近、新聞紙上でバイオ燃料に関する記事を多く見かけます。中でも注目度が高いのがバイオエタノールです。バイオエタノールはガソリンに混入させることで輸送用燃料として使用できることが特徴です。バイオ燃料が注目されている理由は大きく2つあります。一つは化石燃料代替エネルギーとしての燃料多様化への対応、二つ目が京都議定書で定めた二酸化炭素排出抑制への貢献です。バイオ燃料は現状では達成が難しいとされる2010年の目標達成の切り札として期待されています。

バイオ燃料と呼ばれるものはバイオエタノールだけではありません。木質系廃材を用いた燃焼発電や畜産廃棄物や食品廃棄物を用いたメタン発酵等があります。この他、軽油代替としてのBDF(バイオディーゼルフューエル)、最近では、メタンハイドレード等の利用に向けた研究も進められています。エネルギー利用形態が多岐に渡ることがバイオ燃料の特徴といえます。

日本総研でも昨年度から、複数の民間企業と共同でバイオガスの利用を行う新規事業の立上げを検討しています。畜産廃棄物や食品廃棄物をメタン発酵して得られるバイオガスを精製装置に通すことで、不純物除去と濃縮を行い、都市ガスに近い性状のガスを得ることができます。精製バイオガスを従来の化石燃料代替として、物流網に乗せ、既存燃料と競争力を持つ価格で提供します。原料として国内の静脈系の廃棄物を利用しているため、将来に渡って安定的にエネルギー供給を行うことができます。

昨年度にガス精製技術、流通モデルの技術の選定・検証等を終え、現在は、北海道、九州で補助金を受けたモデル事業を進める他、外食チェーン店や産業廃棄物処理業者との連携のもと民間ベースでのプロジェクトを立ち上げています。これらプロジェクトで得られた知見を反映させる形で来年度に事業会社を設立することを目標としています。

現在のバイオ燃料利用に対する社会の関心の高まりを一過性のものとせず、今後とも持続可能な形で、社会の中にバイオ燃料を存在付けることが必要と考えます。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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