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Sohatsu Eyes

伝統勢力への回帰

2006年10月03日 市川 元幸



昨今、エネルギー分野では、伝統的勢力への回帰ともいうべき状況が生じています。すなわち、10大電力会社が2006年3月期決算で、前期比25%超の純利益を確保する一方、省エネや電気供給分野の新規事業者の多くは、仮に増収でも採算は悪化するという困難に直面しています。先般撤退を表明した有力オンサイト事業者の発電供給力は150万kWに達し、これは中型の原子力発電所ひとつ分に相当する規模です。

大手電力会社が底力を発揮している要因を価格面でみると、第一に、電源構成が挙げられます。原子力発電の導入比率が高い電力会社では、石油の発電量割合は10%を下回り、石油価格の高騰に左右されにくい構造になっています。第二に、リストラ(=値下げ)余力の存在が挙げられます。ある大手電力会社では、退職時期を迎える年齢層が多いことから、新卒採用や中途採用を6割増加させても、総社員数は抑制基調を維持できる見込みです。

このような情勢下、新規事業者が存在感を高めるためには、とくに化石燃料の価格変動に左右されにくい電源構成を実現しつつ、大手電力会社の値下げ余力に対抗できる技術とビジネスモデルの開発が求められます。日本総研においては、ここ数年、出力の変動が大きい風力発電などの新エネルギーを制御する技術を開発しつつ、その技術を燃料電池も含む広範な分散型電源の運用に応用するという考えで、この課題に取り組んできました。

去る8月7日、分散型エネルギーを利用するビジネスモデルの開発と事業化検討を目的として、日本総研を含む民間企業8社が出資する日本版LLCの合同会社WEB POWER Service が設立されました。これを機に、この新会社との協働のなかで、エネルギー分野における新しい考え方の実用化に向けた日本総研の取組を、一層強化したいと思っています。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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